安倍首相が描く総裁選後の人事構想とは? 「麻生・菅・二階」の3本柱は維持へ
野田氏は「総裁選に出馬する」と首相に伝えたうえで入閣しただけに、今回、推薦人が確保できずに首相支持に回ったことで、「冷遇の対象にはならない」との見方もある。このため、「複数の女性閣僚維持」(政府筋)との観点からの留任説もあるが、「仮想通貨をめぐる金融庁への圧力問題がネックになる」(同)との声が多い。
河野氏については外相としての活躍ぶりなどで一気に「将来の総理・総裁候補」に浮上した。麻生派所属だが、菅官房長官が後見役とみられており、外交交渉の継続性を理由とした留任説が広がっている。また、女性閣僚としては参院当選4回で冬季五輪のスピードスケート銅メダリストの橋本聖子参院議員会長の五輪担当相での入閣も取りざたされている。
そうした中、国民が注目するのは小泉氏の処遇だ。前回総裁選で石破氏に投票した小泉氏だが、今回は最後まで投票先を明かさない意向を示している。来夏の参院選でも「最強の応援弁士」となるだけに、首相サイドにも「復興相など目玉閣僚として入閣させれば内閣支持率も上がる」と期待する向きがあるが、首相は小泉氏の将来も考えて官房副長官に起用して菅氏の補佐役とすることを検討しているとされる。
官房副長官は「首相への登竜門」でもあり、首相自身も第2次森喜朗内閣で官房副長官に起用されたことがその後のスピード出世につながった経緯もある。ただ、小泉氏が石破氏に投票した場合は「官邸入り」は難しくなり、「筆頭副幹事長に残留もありうる」(党執行部)とみられている。
地方票で石破氏追い上げ、人事は総裁選の結果次第
首相は16日のNHKの総裁選討論番組で人事を聞かれると「人事は適材適所が大前提、天皇退位もあるしオリンピックもG20もある」と述べる一方、後継者育成についても「自民党にポスト安倍候補はたくさんいる、それぞれが切磋琢磨してほしい」と煙幕を張った。
総裁選告示を受けた10日の共同記者会見でも首相は「人事は白紙。適材適所だ。その分野に見識をもっていることが大切だ。総裁選で勝利できればよく考えたい」と述べるにとどめた。これに対し、石破氏は「本当にこの人しかいない。それが日本国のためになるという基準で選ばなければならない。ポストは個人の名誉のためにあるのではない」と公正・公平な人事を主張して首相を牽制した。
14日に再開した総裁選での「候補者対決」は街頭演説やテレビ討論などで次第に論争が白熱化している。3連休最終日の17日も首相と石破氏は各民放テレビに連続出演し、憲法改正やロシアとの北方領土返還交渉などについて互いの主張の対立点をより明確にした。そうした中、党員・党友を対象にした主要メデイアの最新の電話調査などで「全体での首相の圧倒的優位は変わらないが、地方票では石破氏がじわじわと伸びている」(自民幹部)との数字も出ている。
3選後の1強維持のためにトリプルスコアでの圧勝を狙う首相にとって、「人事は総裁選の結果次第」(細田派幹部)との側面もあり、永田町に飛び交う人事構想も「総裁選終盤の展開によって変わる」(同)というのが実態だ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら