安倍首相が描く総裁選後の人事構想とは?

「麻生・菅・二階」の3本柱は維持へ

首相の「後見人」を自認する麻生氏は、財務省による森友学園の国有地売却をめぐる決裁文書改ざんという前代未聞の不祥事の最高責任者でもあり、党内外で辞任論がくすぶっている。しかし、首相は14日の総裁選公開討論会で「管理責任はあるが、立て直すのは麻生さんしかいない。批判覚悟で(再発防止を私との)二人三脚で進めてきた」とし、来年6月に大阪で開催される20カ国・地域(G20)会議の重要性も指摘することで、麻生氏の続投を示唆した。

ただ、麻生氏は「今春の不祥事発覚時には辞任を決意したが首相の慰留で続投した」(首相周辺)とされるだけに、「進退は麻生氏の意向次第」(同)の側面もある。このため、党内の一部では「麻生氏が財務相続投を嫌がった場合は、副総理兼五輪担当相として首相を支えてもらい、後任財務相には岸田氏が就く」(岸田派幹部)との人事案も取りざたされている。

一方、二階氏は高齢(79歳)でもあることから党副総裁への昇格説も浮上した。現在の高村正彦副総裁が昨年秋の衆院選に出馬せず非議員となっていることも背景にある。ただ、二階氏は首相の総裁3選を可能にする党則改正を主導したことに加え、来夏の参院選の仕切り役として剛腕が期待され、さらに、二階氏自身も「続投を望んでいる」(側近)ことから、首相サイドでも留任説が支配的だ。

一方、内閣の大番頭として官房長官在任記録を更新中の菅氏は、政府部内の各省幹部人事や重要政策の調整に加え、内閣の危機管理などで手腕を発揮してきた。来年春の天皇退位・新天皇即位やこれに伴う新元号制定などの一連の皇室行事での政府の司令塔ともなるだけに、首相も「余人をもって代えがたい」として続投させる考えとみられている。

石破氏と竹下氏の処遇に注目集まる

首相にとって参院選に向けての挙党態勢づくりも今回の人事の課題だ。まずは党内各派領袖の処遇がポイントとなる。麻生、二階両氏以外の領袖のうち、最大派閥で首相の出身母体でもある細田派の細田博之会長(元幹事長)については、高村氏の後任副総裁として憲法改正の旗振り役を委ねるとの構想も浮上している。また、最終段階で首相支持を宣言した石原派の石原伸晃会長(元幹事長)も党3役か有力閣僚での入閣の可能性がある。

石破氏支持を宣言した竹下派の竹下亘総務会長については、首相陣営でも「無役にすべきだ」との声が少なくない。ただ、竹下氏とともに石破氏支持に回った同派の吉田博美参院自民党幹事長は参院を仕切る実力者でもあり、「竹下派は敵に回すと手ごわい」(細田派幹部)ことから挙党態勢構築を理由とした竹下氏の総務会長留任や有力閣僚への起用説も消えていない。

総裁選で首相に挑戦した石破氏(石破派会長)については、「同派議員も含めて冷や飯を食わせないと党内に示しがつかない」(麻生派幹部)との見方が多い。ただ、首相自身は17日の民放テレビ番組で「(ライバルを冷遇するということを)私はしていない」と報復人事説を否定しており、総裁選で石破氏が、地方票などで予想外の善戦となった場合は、参院選もにらんで入閣を打診する可能性も残っているとみられる。ただ、3年後の総裁選もにらむ石破氏がどう対応するかは「極めて微妙」(石破氏側近)だ。

一方、現内閣発足時の目玉閣僚だった野田聖子総務相と河野太郎外相の処遇も注目される。

次ページ野田総務相と河野外相の処遇は?
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