ビジネスマンに必要な「数学センス」の磨き方

テスト勉強では身につかない、数学の面白さ

一見したところ、価格に差はないように思うかもしれない。10+20=30なので、2つのお店は同じ割引を提示していると考えてしまうかもしれない。ところが、もう少し考えてみると、それは正しくないことに気づくだろう。なぜならば、店Aでは元の定価に対して10パーセントだけ割り引きし、次に、その下げた価格に対して20パーセント割り引くからだ。一方、店Bでは、30パーセント割引をまるまる元の定価に対して行うのだ。

コートの値段を100ドルと仮定して、10パーセント割り引くと、価格は90ドルになる。そして90ドルからさらに20パーセント(18ドル)割引をすると、価格は72ドルに下がる。店Bでは、100ドルから30パーセントを割り引いて価格は70ドルに下がる。これで割引の差は2ドル、2パーセントだ。この手順は、さほど難しくはないものの少々面倒で、必ずしも状況を十分に見通せるとは限らない。

簡単に差を求めるには?

ではここで、興味深くて、ずいぶんと珍しい手順をお見せしよう。このような手順は学校では教えられてこなかったはずだ。それでは、その方法に従って、2回(あるいは3回以上)連続して割り引く(割り増す)のと同等な1回の割引(割増)を求めよう。

1. 各割引を小数の形に変える。
 .20および.10
2. これらの小数をそれぞれ1.00から引く。
 .80および.90(割増なら1.00に加える)
3. これらを掛け合わせる。
 (.80)(.90)=.72
4. この数(つまり.72)を1.00から引く。
 1.00-.72=.28 これが組み合わせた割引率だ。
(ステップ3の結果が1.00より大きければ、その数から1.00を引いて割増率が得られる)

.28をパーセントの形に変換し直すと、28パーセントとなり、これは20パーセントと10パーセントの割引を連続したものと同等だ。この組み合わせた割引率である28パーセントは、30パーセントとは2パーセントの差がある。

同じ手順に従って、3回以上連続する割引を組み合わせることもできる。さらに、割引は1.00から引いて同じ方法で手順を続けたのに対し、割増を連続させる場合には、割引と組み合わせても組み合わせなくても、割増分に相当する小数を1.00に加えることで、この手順を使える。

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もしも最終結果が1.00より大きければ、それは上記の問題に見られた割引よりも全体として割増になったということの表れだ。この手順はよくある厄介な状況を効率化するだけではなく、全体的概念を理解するためのきっかけとなる。たとえば、「上記の問題で、20パーセントの割引を受けてから10パーセントの割引を受けることと、逆に、10パーセントの割引を受けてから20パーセントの割引を受けることでは、買い手にとってどちらが好都合だろうか?」という問いについて考えよう。

この問いに対する答えは、直観的にただちに明らかとは言えない。ところが、たった今示した手順から、計算は単なる掛け算であることがわかり、掛け算は可換な演算であるがゆえに、2つの選択肢の間には差がないとわかる。

だからここで、割引や割増やその組み合わせを連続して行うためのなじみやすいアルゴリズムを手に入れる。これは役立つばかりではなく、割合を扱ううえでの新たな力にもなる。

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