日本vs中国、鉄道の「実力」はどちらに軍配? 世界首位の中国中車、国外売上高はわずか
世界の鉄道ビジネスでとりわけ関心が集まるのは高速鉄道だ。時速200キロメートル以上で走る高速鉄道の建設は高い技術力を必要とするため、ゼロからの開発は簡単ではない。そのため、新興国などが高速鉄道を導入しようとする際には、走行実績が豊富な国の企業から車両を輸入するといった例が多い。
世界一の高速鉄道網を誇る中国も、高速鉄道車両の開発に際しては日本やドイツ、フランスに技術支援を仰いだ。
中国の高速鉄道車両「CRH2」は、東北、上越新幹線などを走る「E2系」タイプの車両を輸入およびライセンス生産したものだ。同じく「CRH380B」も元をたどれば、シーメンスの高速鉄道車両「ヴェラロ」がルーツである。
アルストムやシーメンスの高速鉄道車両は多くの国で採用されているが、日本も負けていない。日本の新幹線は「E2系」だけでなく、東海道・山陽新幹線「700系」をベースに開発した「700T」が台湾に輸出され、2007年から営業運転を行っている。さらにインドでもムンバイ─アーメダバード間の高速鉄道案件を2015年に受注。東北新幹線「E5系」タイプの導入が決まっており、2023年の開業に向け、急ピッチで準備が進む。
イギリスでは都市間高速鉄道計画(IEP)などのプロジェクトによって、日立製の高速鉄道車両が次々と導入されている。これまでに日立がイギリスから受注した高速鉄道車両の総数は1396両。これはJR東日本(東日本旅客鉄道)が保有する新幹線の車両数1385両を上回る。
ただし油断は禁物
当初は日欧の助けを借りて車両製造を行った中国も、今では自国の高速鉄道技術の輸出に力を入れる。2015年にはインドネシアのジャカルタ─バンドン間を結ぶ高速鉄道案件で日本に競り勝った。
だが、受注はしたものの、土地収用の遅れなど準備に時間を要し、建設は進んでいない。当初予定されていた2019年の開業は望み薄だ。高速鉄道の国際展開も、今のところ日本に軍配が上がるといってよいだろう。
ただし、これらはあくまで現時点の話である。日本国内では在来線車両の置き換え需要が堅調で、鉄道メーカー各社は今後しばらくの間、国内ビジネスで稼げそうだ。
雇用、為替、法規制などリスクの高い海外ビジネスにあえて手を出す必要はないと考えるメーカーが出てきても不思議はない。油断していたら、鉄道車両製造も中国に追い越され、「鉄道王国ニッポン」の看板を降ろす日がやってくるかもしれない。
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