日本勢の行方は?激変の鉄道メーカー勢力図

世界を席巻した「ビッグスリー」も今は昔

シーメンス製の機関車「ヴェクトロン」(筆者撮影)

21世紀より以前、欧州を中心として各国の小規模メーカーが群雄割拠し、それぞれが地元の鉄道会社へ向けたオリジナルの車両を小ロットで製造するというのが鉄道車両製造の構図だった。各国・各会社で独自性の強い、オリジナルの車両をゼロから企画、製造するオーダーメードが一般的で、自動車のように全世界共通の車両を大量生産するスタイルは、確立されていなかった。

それが1990年代以降、小規模メーカーを大手企業が買収する動きが急激に加速し、21世紀を目前に欧州ではほぼ3つのメーカーに集約された。これが「ビッグスリー」、ボンバルディア、シーメンス、アルストムの3社である。

同時に、鉄道車両は設計自由度が高いオーダーメードから、ベースとなる基本パッケージに必要なパーツなどを組み合わせることにより、運営側の条件に合致した車両を組み上げるレディメードが一般的となった。特に通勤・近郊用車両については、安価なうえに短時間で製造が可能なレディメードの車両を導入している会社が多い。

有力メーカー同士が合併連衡

1990年代から2000年にかけて、有力メーカー同士の合従連衡が繰り返される中、ドイツの機関車製造老舗のクラウス・マッファイや高性能路面電車で有名なデュワグはシーメンスに、英国の老舗GECやメトロ・キャメル、イタリアのフィアット(鉄道製造部門のみ)はアルストムにそれぞれ買収された。ボンバルディアの変遷はさらに複雑だが、そもそもボンバルディアという会社自体は航空機の製造が主で、鉄道車両の製造規模は大きくなかった。しかし、ダイムラークライスラーの鉄道部門であったドイツAEGと北欧ABBなどが合併して誕生したアドトランツを吸収合併したことで、一気に事業規模が拡大。鉄道製造部門の機能はすべてドイツへ移した。

こうして企業規模を拡大していった3社は、21世紀に入り世界を席巻。2001〜2006年の平均シェアを見ると、3社合計で約56%と過半数となった。当時の他国メーカーでは、GE(米国)が約8%、アンサルドブレダ(イタリア)が5%で、日本勢は主要5社を合計しても9%、中国メーカーも全体で7%にすぎなかった。

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