日本vs中国、鉄道の「実力」はどちらに軍配? 世界首位の中国中車、国外売上高はわずか

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中国高速鉄道「CRH380D」。ボンバルディアの「ゼフィーロ」をベースに開発(記者撮影)

中国中車の成長の原動力は、急ピッチで進む中国国内の鉄道整備だ。

中国は世界の高速鉄道営業距離の3分の2に相当する2.5万キロメートルの高速鉄道網をわずか20年で構築。さらに30年までに高速鉄道網を3万キロメートルに拡張する計画もあり、高速鉄道車両の受注は今後も増えるだろう。つまり、中国中車が中国国内で稼ぐのはある意味当然の話である。

では、同社が中国以外で稼いだ売り上げはどの程度あるのかというと、191億元(約3100億円)と鉄道事業売上高の13%にすぎない。

中国製車両の中身は「日本製」

日立の鉄道事業売上高5627億円に占める海外比率は83%(約4670億円)に達している。同じく川重の鉄道事業における地域別売上高比率は「国内、北米、アジアがそれぞれ3分の1ずつといった状況」(同社)なので、海外売り上げは940億円程度とみられる。

このほかでは、売り上げの4分の3を海外で稼ぐ近畿車輛の海外売上高は465億円。この3社の海外売上高を合計すれば、約6075億円。中国中車の国外売上高のほぼ2倍だ。将来について油断は禁物だが、現時点の世界での存在感は、日本勢のほうが大きいといえそうだ。

さまざまな産業で中国企業が日本を脅かしつつあるが、半導体や精密機械、高級鋼材といったハイエンド分野は、今なお日本勢に強みがある。鉄道も例外ではなく、鉄道車両に使われる電機品や信号システムなどのうち、とりわけ高い技術が必要とされるものは、中国も日本からの輸入に頼らざるをえない。

日本は、2017年度にこうした鉄道部品を中国に4億5840万ドル(約500億円)分輸出している。この数字は日本の鉄道部品輸出全体の3割に相当する。中国の鉄道車両生産が増えれば、日本の部品輸出も増える。その点で中国企業の躍進は日本勢にとって悪い話ばかりではない。

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