中国は「現代版プラザ合意」で元高を飲むのか 日経平均よりも米中貿易戦争の行方に注目
ここで改めて若い読者のために、プラザ合意を紹介しておこう。同合意とは、33年前、アメリカのドル高是正を解決するため、アメリカの呼びかけで、NYプラザホテルに先進国5カ国(日・米・英・独・仏=G5)の財務相と中央銀行総裁が集まり、ドル安に向けた協調がなされたことを言う(1985年9月22日)。
「1ドル=3元」はないが、今後の為替の行方に注目
ドルに対して、参加各国の通貨を一律10〜12%切り上げるために各国が協調介入を行うというものだったが、当時の実質的なターゲットは主に円であり、日本の対米貿易黒字だった。結果的にわずか2年でドル円は1ドル=250円前後から約120円まで急速に円高が進んだ。
日本は円高不況を避けるため、強力な金融緩和政策を実施。これがいわゆるバブル景気を招く。今回は、もしあれば「米中二国間での合意」となるが、もちろん元高を了承すれば中国は「輸入増加、輸出減少、国内景気は元高不況」となる。それを防ぐために、国内景気喚起、財政拡大、インフラ整備に今までよりも強力な政策が必要となるが、そのモデルは33年前の日本にあるので、実現は不可能ではないはずだ。
しかも、そのターゲットは「1ドル=3元」という説まである。日本では2年で、プラザ合意前のドル円が250円から120円になったので、その比率でザックリ行くと1ドル=6.8元が2年で1ドル=3元だというわけだ。だが、この辺になるとかなり乱暴な話に聞こえるし、そこまではさすがに無理だと思うが、いずれにしても今後に注目したい。
さて、当面の日経平均はどうなるか。前述のごとく、サポートラインを割れ、形の悪さが目立ってきたが、「ステルステーパリング」が噂されている日銀のETF(上場投資信託)買いは、9月に入っての連続買いで「年6兆円ペース」に戻っている。
また外国人投資家は現物+先物で2週連続買い越しとなり、その額は5389億円だ。現物のみでも5週ぶりの買い越しとなった。業績が順調にもかかわらず、年初からの急落・低迷相場のため、日経平均と予想EPS(1株利益)の相関係数は、36週移動平均ベースで-0.7前後まで低下している。
つまり増益なのに株価が下がっているわけだが、このマイナス数値の大きさは、2016年末から始まった「トランプ相場」の直前レベルとほぼ同じだ。業績と株価の相関関係は「反転近し」を告げている。今週の日経平均予想レンジは2万2000円前後―2万2700円とする。
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