北海道電力が「ブラックアウト」に陥った根因 切り札の「北本連系線」は機能を発揮できず
北本連系線の送電容量は現在、60万キロワットある。北海道の総需要の十数%に相当する電力を本州から瞬時に送ることができる。そのうち、50万キロワット超分を、発電所の大規模な停止に備えた「マージン」(万が一に備えた空き枠)として、普段は使わないようにしていた。
想定されていた電源脱落
2015年4月30日に広域機関の専門委員会が公表した資料によれば、「最大電源ユニットが脱落した場合に系統を安定に維持できる量の考え方」として次のような記述がある。
「たとえば、北海道電力の最大ユニットが脱落した場合、北電エリア内の周波数が大きく低下。この際、北海道エリアの系統規模(の小ささ)を踏まえれば、この脱落に対して周波数を維持できない。このため、東北→北海道方向のマージンを確保しておくことで瞬間的な電源脱落に対応」
まさにこれは、今回のように、北電の最大級の火力発電所である苫東厚真(とまとうあつま)石炭火力発電所(厚真町)が急に動かなくなった場合を想定しての記述だ。周波数の大幅な変動は発電機の故障につながるため、絶対に防がなければならない。しかしながら、この考え方に基づきマージンを確保していながら、本州からの電力の融通はうまくいなかった。
いったい、なぜ有事の切り札は機能しなかったのか。その理由について、広域機関の広報担当は「北海道全域が瞬時にブラックアウトしたため、そもそも連系線を活用できなかった。どうにもならなかった」と答えた。
もしこのことが事実だとしたら、世耕経産相が指摘した前出の対策①、対策③とも、そもそも意味を持たないことを意味しないか。
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