トヨタ自動車は、欧米不振と円高で通期営業益1兆円下方修正、9期ぶり減収減益

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トヨタ自動車は、欧米不振と円高で通期営業益1兆円下方修正、9期ぶり減収減益

トヨタ自動車は今2009年3月期業績予想を下方修正した。4~9月期の低迷に加え、下期はさらに不振が加速する。

4~9月期の世界自動車販売は425万台で、前年同期比5.1万台の減少。アジアや中南米などが伸びた一方、北米向けが14万台減、欧州向けが5.6万台減。リーマン・ショックに端を発した金融不安が欧米を駆け巡り、自動車をはじめ実体経済にも波及。4半期ベースで見ると、7~9月期は北米部門が349億円の営業赤字、欧州も115億円の赤字に陥っている。また円高も追い打ちをかけた。実績レートは対ドルで106円だったが、これは前年同期の119円に比べ、13円も円高に進んでいる。トヨタの場合、1円の円高で年間400億円の営業利益が目減りする計算だ。さらには鋼材などの原材料高も引っ張った。結果的に4~9月期の営業利益は前年同期比54.2%もの減益になった。

注目されるのは通期見通しだ。修正した会社営業利益予想は6000億円。何と期初の1兆6000億円から、1兆円も下方修正した。前期比で1兆6703億円減、率にして73.6%もの減益である。上期営業利益が5820億円だから、残る下期はわずか180億円しか、稼げない計算になる。

減益要因の内訳は、円高で6900億円、販売減で6100億円のマイナス。特に為替は、対ドルで103円、対ユーロで146円に通期平均の前提レートを見直した(10~3月期は対ドル100円、対ユーロで130円)。前期実績に比べてドルは11円、ユーロは16円の円高だ。販売計画は824万台で、前期実績から67.3万台の減少を見込む。北米で53.8万台減、欧州で7.4万台減、さらに日本でも10.8万台減を予想している。設備投資や研究開発費の計画変更はしていない。配当も前期と同じ年間140円を維持するものと見られる。

「環境変化がすさまじい。来年後半に上向くといいが…」。そう語る伊地知隆彦専務の表情は険しい。トヨタにとっては9期ぶりの減収減益であり、これまで拡大路線一辺倒で来た強気の方針が、急速に修正を迫られているのは明らかだ。

「東洋経済オンライン」は、会社側の見通しは最悪のケースを想定していると判断するが、為替など不透明な要因もあり、目下のところ同じ予想数字を踏襲する。ただし今後の情勢次第で見直す可能性がある。


《東洋経済・最新業績予想》
 (百万円)    売 上  営業利益   経常利益  当期利益
◎本2008.03   26,289,240  2,270,375  2,437,222  1,717,879
◎本2009.03予  23,000,000    600,000    640,000    550,000
◎本2010.03予  23,500,000    650,000    700,000    600,000
◎中2008.09   12,190,405    582,068    636,487    493,469
◎中2009.09予  11,500,000    150,000    200,000    170,000
-----------------------------------------------------------
          1株益\    1株配\
◎本2008.03        540.7         140 
◎本2009.03予       175.4         140 
◎本2010.03予       191.4         140 
◎中2008.09        156.9          65 
◎中2009.09予        54.2          65 
大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。大野和幸(X)

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