ナイキが「怒れる白人年長男性」を敵に回した

国歌斉唱で起立を拒否した選手を広告に起用

 9月3日、米スポーツ用品のナイキは、米プロフットボールリーグ(NFL)の試合前の国歌斉唱時に起立を拒否してリーグから問題視された選手、コリン・キャパニック氏を広告に起用すると明らかにした。写真は試合前の国歌斉唱時に膝をつく選手たち。中央がキャパニック氏。2016年10月にサンタクララで撮影。USAトゥデイスポーツ提供(2018年 ロイター)

[4日 ロイター] - 米スポーツ用品のナイキ<NKE.N>は3日、米プロフットボールリーグ(NFL)の試合前の国歌斉唱時に起立を拒否してリーグから問題視された選手、コリン・キャパニック氏を広告に起用すると明らかにした。これを受け、4日の株式市場でナイキの株は売られ、同社製品をボイコットする動きも出ている。

一方、ナイキは今回の広告でブランド認知度の向上を目指しており、その点でナイキは最終的に成功するとマーケティングの専門家は指摘する。

ウェドブッシュ・セキュリティーズのアパレル業界アナリスト、Christopher Svezia氏は、ナイキは主な顧客層が14─22歳の男性だということを誰よりも理解していると述べた。

市場調査会社NPDグループのシニア・アドバイザー、マット・パウエル氏は、不買運動はやがて収まるとの見方を示した上で、「年長の怒れる白人男性」はナイキの主要ターゲット層ではない、と説明した。

メディアエージェンシーのメディア・キッチン最高経営責任者(CEO)、バリー・ローウェンタール氏は、ナイキのキャンペーンを評価した上で、同社はこれまでも、ソーシャルメディア時代のインフルエンサー・マーケティングとして知られる方法、つまり、有名人の支持や推薦を利用してブランドをプロモーションすることで成功していると指摘。「ナイキは当然、こうした方法がうまくいくことを認識している。これは典型的な広告手段、プロダクト・プレイスメントだ」と説明した。

ナイキの広告に起用されたキャパニック氏は、サンフランシスコ・フォーティナイナーズの主力選手だったが、2016年に武器を所持していない黒人を警官が射殺する事件が相次いだことを受け、黒人差別に抗議するため、試合前の国歌斉唱中に起立しないよう選手に呼びかけた。

同氏はこの件でNFLと対立し、法定闘争にも発展している。2017年のシーズンはどのチームとも契約できなかった。

ナイキは、スローガン「Just Do It」の30周年を記念するキャンペーンで、他のスポーツ選手と共にキャパニック氏を広告塔として起用する。

トランプ米大統領は4日付のデイリー・コーラー紙とのインタビューで、ナイキのキャンペーンは「ひどい決定だ」とコメント。一方で「他の人がそうすべきでないと考えていることも実行する自由がある。それが米国という国だ」と述べ、キャパニック氏の言論の自由をある程度尊重する考えも示した。

ナイキの株価は4日、3.2%安で引けた。一時4%近く下げる場面もあった。

ただ、広告を巡る論争は、一部の投資家にとり、割高だったナイキ株を売る都合の良い材料となった、との指摘もある。

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