iPhoneを支えてきたTDK「スマホ電池」の実力 買収から10年超で急成長、スマホの次も模索
TDKで電池事業を統括する指田史雄・エナジーソリューションズビジネスカンパニーCEOは、「後発メーカーだったため、リソースを集中的にパウチ型に投資したのが結果につながった」と話す。スマホをはじめとするIT機器向けに集中し、手にした案件が開花したため、開発資源も分散させずに済んだのだ。
「異端児」のスピード感
電池市場ではスピード感も重視される。ATLは顧客の要望を受けてから試作品を提供するまでの時間が他社より短く、スマホの発売計画に合わせて作り込むのも得意という。「皆が役職に関係なく発言し、考え方も柔軟。日本企業を超えるスピード感を持ち、いい意味で異端児だ」(指田氏)。
ただスマホ市場も成長鈍化が懸念される。TDKが今後狙うのは、IoT関連機器などに加え、電動2輪車や産業用ロボットなど、動力系の分野だ。現在はすでにドローン向けに供給している。使われる電池は長寿命で大型のものであり、小型で使用期間が2〜3年程度のスマホ向けとは大きく異なる。
ここで力を借りるのが、11年にATLから独立した車載用電池メーカー・CATLだ。同社は独BMWや日産自動車などとの取引で注目を集めている。車載用で培った大型・長寿命の技術提供を受け、ATLは開発期間を短縮する方針だ。
スマホ向け以外の電池は19年から投入予定。「TDKのセンサーや電源、電子部品と組み合わせ、総合力を発揮する。今後3〜5年程度で新たな用途の電池が大きな柱になる」(指田氏)。TDKの電池事業にかける意気込みは強く、2020年度までの3年間で1000億円以上を電池事業に投資するとみられる。
2017年度までATLは1つの事業部としてほぼ独立した状態だったが、今年4月にはTDKの電源関連事業や電池開発部門などと集約された。ATLの従業員はTDK傘下というよりも、「自分たちの会社」という意識が強いという。これまではATL単独で急成長したが、今後はTDKとの相乗効果を出せるかが課題。新たな成長戦略が求められる。
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