川崎市で筋金入りの軍事見本市をやる危うさ ソフトバンクは直前になって参加取り止め
イスラエル大使館や主催者側は、オリンピックに商機を見出しているようだが、イスラエルに対する非難が高まる中での実施は、日本や参加企業の対外イメージを損なうリスクもある。本稿執筆時点では出展企業は公表されていないが、イスラエル、エストニア、イギリス、カナダ、イタリア、日本の6カ国からなる匿名の46社だと伝えられている。
日本では少なくとも、イスラエルSCD社の日本代理店であるアイ・アール・システムと、マガール・セキュリティ・システムズやセンスターなどの製品を扱う輸入代理店、エム・エー・ジェーが参加予定である(両社ともホームページ上で公表)。
ソフトバンクは参加を取りやめた
一方、ISDEFのゴールドスポンサーだったソフトバンクは、同社に対する反発の声が高まりを受けてか協賛を取りやめた。このほか、ソフトバンク社員によるプレゼンテーションも行わないことにしたという。
開催会場となる「とどろきアリーナ」を抱える川崎市は、京浜工場地帯があるがゆえに長年公害に悩まされてきた歴史があるため、市民運動が盛んな土地柄だ。そんな町で「ISDEF」が開催されるに至った背景は明らかになっていないが、理由の1つとして考えられるのは、首都近郊のほかの会場で断られた可能性である。
今回の「ISDEF」はあくまでもオリンピックをターゲットとした見本市である。兵器を展示するのではなく、あくまでも公式上は「テロ/サイバー攻撃対策の装備展」ということになっている。とはいえ、出展者の大半は軍産企業だ。さらにイスラエルは武器輸出国の上位10位に入る軍需大国。公共の施設を貸し出す自治体の側には懸念はないのだろうか。
8月2日の定例会見で福田紀彦市長は、軍事技術と抜きがたい関係にある展示への不安を表す市民の声に対し、「使用の規定に反しない限り、原則として申請があれば市の施設は貸し出す」と回答。とどろきアリーナの使用規定で「危険物の持ち込みは禁止」となっているが問題はないのか、という質問には「主催団体から武器の展示はないと聞いている」と答えた。
こうした回答に対し「川崎でのイスラエル軍事エキスポに反対する会」の杉原こうじさんは「形式的な判断にとどまり、戦争犯罪と一体の軍事システムの一環という本質を見ていない。平和を掲げる自治体が公共施設を会場として提供するなどありえない」と納得がいかない様子だ。
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