川崎市で筋金入りの軍事見本市をやる危うさ ソフトバンクは直前になって参加取り止め

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2014年4月に、安倍晋三政権が武器輸出三原則などを変更し、「防衛装備移転三原則」を決定して以来、日本ではこれまで「MAST Asia 2015」(海軍関係の武器見本市)や「国際宇宙航空展2016」など、3回の武器などが展示された見本市が開かれている。「MAST Asia」はイギリスの民間企業「MASTコミュニケーションズ」が主催する軍事見本市で、2006年から開かれているが、日本での開催は欧州域外では初となる試みだった。

一方、「国際航空宇宙展」は1966年から数年に1回(近年は4年に1回)行われている社団法人日本航空宇宙工業会の催し。あくまで「航空宇宙分野の国際展示会」という建前があるため、表だって兵器の展示をアピールすることはない。実際、日本ブースは武器より航空宇宙関係の比重が明らかに高いが、海外ブースはメイン展示が武器であり、とりわけ2016年の海外ブースは露骨な「武器見本市」状態だった。

「オリンピックは商機」と見る向き

すでに報道されている通り、日本はオーストラリアの潜水艦受注競争に参加するなど、アジア太平洋地域への武器輸出を始めようとしている。「ISDEF」はこうした状況下で開かれるわけだ。

もう1つ「動機づけ」となるのが、東京オリンピックだ。単純比較はできないが、実際にロシアで「ISDEF」が開かれたのも、サッカーロシアワールドカップの2年前である。「ISDEF」が影響した訳ではないだろうが、開催時は警備に約530億円をかけ、ロシア軍や治安機関が10万人動員されるなどその過剰なまでの警備が話題となった。

今回、日本での「ISDEF」もやはり五輪開催の2年前である。警視庁はこうした大規模なスポーツ大会における警備の重要性を鑑みて、応援も含め2万数千人の警官の配置を計画。さらにセコムと綜合警備保障(ALSOK)など主要警備会社14社で共同企業体(JV)を組織し、会場周辺の警戒に当たるという。

政府は、オリンピックが開かれる2020年には、訪日外国人を4000万人に増やしたいとしている。当然、警備強化は最重要課題の1つになっているはずだ。

こうした微妙な状況の中、ISDEFは開かれる訳だが、後援するイスラエル大使館はどう考えているのだろうか。同大使館に問い合わせたところ、「ISDEF Japanは安全保障をテーマとした展示会および講演会であり、東京オリンピック2020やパラリンピックといった大規模イベントの参加者を守るための知識や技術の共有に焦点を当てております。このイベントはイスラエルと日本の企業、および国際企業が出展し、そのような重要なイベントの安全性の向上に関連する日本の市場を対象にしております」と、通り一辺倒な回答が帰ってきた。

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