世界を虜にする「最先端アーティスト」の衝撃 オラファー・エリアソンを知っていますか?

拡大
縮小
オラファー・エリアソンが手がけた「フィヨルド・ハウス」(写真:David de Larrea Remiro, 2018 © 2018 Olafur Eliasson)

デンマークの首都コペンハーゲンから西へ240キロ。湾岸都市ヴァイレのフィヨルド(入り江)に、要塞のような建物が出現した。デンマーク生まれの世界的な現代美術家、オラファー・エリアソンによる建築「フィヨルド・ハウス(Fjordenhus)」だ。

2018年6月に建物が公開されると、世界中のアート好きの間で話題となった。現時点で日本から確認できる情報を基に、フィヨルド・ハウスとエリアソンの魅力を紹介したい。

アートと建築の境界を横断した建物

ヴァイレのフィヨルド入り江に建つフィヨルド・ハウス(写真:Anders Sune Berg, 2018 © 2018 Olafur Eliasson)

フィヨルド・ハウスの最大の特徴は、港から少し離れた海の中に建っていることだ。

互いに接続されたレンガ造りの4つの円柱形が、フィヨルドの水面下から生えているようにそびえ立っている。レンガは個々に色や形が異なり、壁面は周囲の環境と調和するようにゆるやかなカーブを描いている。高さ28メートルの外壁は楕円のようなアーチで大きくくり抜かれ、その空洞からは北欧の光が差し込み、風がそよぐという。

時間帯や気候、季節による自然環境の変化は、絶えず建物に異なる表情を与える。水や光、風など自然界を構成する要素を取り込むのが、エリアソン作品の特徴でもある。

緑色や赤茶色など、色とりどりのレンガで造られている(写真:©Studio Olafur Eliasson)

エリアソンはこれ以前にも、イギリス・ロンドンの「サーペンタイン・パビリオン」(2007年)や、コペンハーゲンの運河にかかる歩道橋「サークル・ブリッジ」(2015年)といった建築作品を手掛けてきた。

そしてフィヨルド・ハウスは、エリアソンが初めて建物全体を手掛けた建築となった。エリアソンは建築家のセバスチャン・ベーマンとスタジオ・オラファー・エリアソンと共に建物を作り上げた。アートと建築の境界を横断して活動してきた彼にとって、集大成的な作品とも言える。

次ページ建物内ではエリアソン作品も堪能できる
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT