世界を虜にする「最先端アーティスト」の衝撃 オラファー・エリアソンを知っていますか?
デンマークの首都コペンハーゲンから西へ240キロ。湾岸都市ヴァイレのフィヨルド(入り江)に、要塞のような建物が出現した。デンマーク生まれの世界的な現代美術家、オラファー・エリアソンによる建築「フィヨルド・ハウス(Fjordenhus)」だ。
2018年6月に建物が公開されると、世界中のアート好きの間で話題となった。現時点で日本から確認できる情報を基に、フィヨルド・ハウスとエリアソンの魅力を紹介したい。
アートと建築の境界を横断した建物
フィヨルド・ハウスの最大の特徴は、港から少し離れた海の中に建っていることだ。
互いに接続されたレンガ造りの4つの円柱形が、フィヨルドの水面下から生えているようにそびえ立っている。レンガは個々に色や形が異なり、壁面は周囲の環境と調和するようにゆるやかなカーブを描いている。高さ28メートルの外壁は楕円のようなアーチで大きくくり抜かれ、その空洞からは北欧の光が差し込み、風がそよぐという。
時間帯や気候、季節による自然環境の変化は、絶えず建物に異なる表情を与える。水や光、風など自然界を構成する要素を取り込むのが、エリアソン作品の特徴でもある。
エリアソンはこれ以前にも、イギリス・ロンドンの「サーペンタイン・パビリオン」(2007年)や、コペンハーゲンの運河にかかる歩道橋「サークル・ブリッジ」(2015年)といった建築作品を手掛けてきた。
そしてフィヨルド・ハウスは、エリアソンが初めて建物全体を手掛けた建築となった。エリアソンは建築家のセバスチャン・ベーマンとスタジオ・オラファー・エリアソンと共に建物を作り上げた。アートと建築の境界を横断して活動してきた彼にとって、集大成的な作品とも言える。
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