中国文系エリートが語る、就活のポイント

中国エリート学生座談会(その2)

――では、最終的に今の企業を選んだ理由はなんでしょうか。

張宏:僕の場合は、まずこの仕事と業界にものすごく興味があること。2つ目はこの仕事が自分の性格に合っていること。3つ目は中国の金融業界の中で最も成長の速い分野であることです。

――張宏さんはほかにもたくさん内定をもらっていますが、ほかを選ばなかった理由はなんでしょう。

張宏:それぞれいろいろあるのですが、ひとつ挙げると、実は日本の大手企業からも内定をもらったのです。僕はこの企業にとても引かれました。勤務地は日本ですが、グローバルな展開をしており、金融事業の規模も大きいです。給料がかなり高いことも魅力的でしたし、5年後、10年後にどのようなトレーニングを受け、どのように給料が上がっていくか、キャリアプランが明確なのも印象的でした。

でも実はこの会社は金融以外の部署も多く、どこに配属されるかはわからないということでした。僕はどうしても金融業界に行きたかったのでお断りしました。でもちょっと後悔しています。日本の企業に行くというのは大きなチャレンジですし、それは成長の糧にもなったでしょう。

沈永革:断ったのは、こいつの性格にもよりますね。僕はリスク大好きタイプですが、彼はリスク回避タイプですから。

張宏:リスクというか、仕事や生活のスタイルについても考えたんですよ。僕は以前、日本に行ったことがあるので、日本の文化についてもなんとなく理解しています。日本と中国では、仕事の仕方がかなり異なると思います。

僕は友達をたくさんつくり、一緒にワイワイやることが好きですが、日本では仕事により多くの時間を費やすことになるでしょう。友達とワイワイやるような生活が望めないかもしれない。そうであれば、日本に行っても楽しくはないのではないかと思ったのです。

そしてもし仕事を楽しいと思えなければ、それは自分に対する損失であるだけでなく、僕にたくさんのトレーニングを提供し、おカネをかけた会社にとっても損失になります。こうしたことを考えて、内定を断りました。ただ、お断りするのは、内心すごくつらかったですよ。

王俊:僕が今の就職先を選んだのは、まず企業文化ですね。人事や部署のマネジャーから企業トップまで、とても話が合いました。企業全体の雰囲気もよく、ここで仕事をすれば心地よく、楽しく過ごせるだろうと思ったのです。

2つ目は発展の空間です。この企業は伝統的な業界の中で、ビジネスモデルのイノベーションを行うトップ企業で、成長も著しいです。また、入社後にはオリエンテーションを提供するという話を聞き、発展の空間が非常にあると感じました。実際、2年後には新しい部署を設立して、そこのリーダーを私に任せるという話で、これはとても魅力的でした。

内定を断った理由

――内定を断った企業のほうはなぜでしょうか。

王俊:実は国有の大企業からも内定をもらっていました。仕事内容は営業です。メリットを挙げれば給料と福利が非常によいことですが、営業といっても独占業界ですので、主にコネに頼ることになります。つまり地方政府のサポートを受けなければなりません。

そうすると主な仕事は地方の役人に付き合って飲み食いし遊ぶことです。それはすなわち、これまで何年も勉強をしてきたものをすべて捨て、「コネ」というある種のテクニックで、他人と競うということになります。自分の強みは専門知識であって、コネのテクニックではありません。

それにこのような仕事はある意味、「重労働」です。販売部のマネジャーは、僕の学部時代の先輩なのですが、月に20日は出張だと話をしていました。僕は計算してみました。月に22日働くとして、会社にいられるのは2日だけです。おまけに20日間のほとんどは、接待に費やされます。先輩は「1、2年もすれば体を壊すだろう」と言っていました。

またこういう特殊な業界は、いったん中に入ってしまうと抜け出せなくなり、転職は難しいといわれています。それで最終的に内定を断りました。

童芳:先ほどもお話しましたが、就職先の保険会社は第2希望です。本当は張宏さんのような資産管理の仕事をしたかったのです。でも景気の影響で採用枠が縮小されたうえに、証券会社はもともと女性の採用が少ないので、道がありませんでした。

女性なら銀行がよいとみんな言います。けれど私は普通の女子大生とは違って、銀行の感じがあまり好きではありません。銀行ではまず、半年から1年、窓口業務を担当します。そんなに長く窓口業務をやっていたら、私の青春も思考力もすり減って、すっかり角がとれた何の考えもない人間になってしまうと感じるのです。だから銀行は2、3社しか応募しませんでした。

内定をもらった保険会社と信託会社とファンドのうち、信託会社は上海の企業ではなく、上海戸籍を得られなかったため断りました。またファンドは販売ルートを開拓する仕事で、主に華東地域(上海市、江蘇省、浙江省)を担当するということでした。私は上海人ではありませんので、ライバルの地元出身者には勝てないでしょう。また平日5日間は出張で仕事が大変そうだったので、こちらも断りました。

そういう経緯で、保険会社を選んだ理由はあまり積極的なものではありません。ここでしばらく働きながら、証券会社に転職するチャンスを待ってみようと思っています。

次ページ命を削って仕事をする
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • おカネと人生の相談室
  • 離婚のリアル
  • 今さら聞けない競馬のキホン
  • 内田衛の日々是投資
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
貨幣になれなかった<br>ビットコインの必然

投機対象になってしまったビットコイン(仮想通貨)。だがその初志は、自由放任主義にせよ、共同体の中で純粋な貨幣を目指すものであった。『貨幣論』の著者岩井克人氏が、ビットコインをめぐる熱狂とバブル崩壊、貨幣の本質を語る。