読み手をイラッとさせるメールの王道が、まずコレだろう。
「『以前もお伝えしましたが、納品日は◯日となりますので……』『お気づきだと思いますが、お願いしている書類がまだ届いておりません……』と、こちらへの要望の文言に、いちいちひとこと入れてくる取引先がいる。『以前もお伝え』とか『お気づきだと思う』とかいる? 暗に『お前はデキていないよ』と批判している気がして、腹が立つ」(商社勤務・46歳)
「『こうした案件は“通常であれば”1週間はいただいております』とか『そういったご依頼ならば、もう少しお願いをいただくのが“普通です”』などとか書かれると、イラッとくる。『俺は普通じゃないってことか!?』と」(印刷・44歳)
こうした余計なひとことが、読み手をイラッとさせる理由は、遠回りに相手を「非難」しているようにとらえられるからだ。当然、読み手の心を必要以上に逆なでてしまう。
気をつけたいのは、書き手が「相手を非難しよう」と意識していないときにやりがちなことだ。最初の例でいえば「念を押す意味で『以前もお伝えした』と入れておこう」などと考えて文章を書いたと思われる。ところが、そのせいで「押しの強さ」が文章に練り込まれる。それが“ダメ押し”となり、ムダに攻撃的な印象を受け手に与えてしまうのだ。
メール文を意味深にとらえる人は多い
「そもそも『メールの文面を必要以上に意味深にとらえる人が多い』ということを認識しておくといいと思います」(平野さん)
ちょっと返信が遅いと『嫌われたのでは?』と思ったり、気になる異性から自分を褒める内容のメールが届くと『自分のことを好きなのでは』と一喜一憂したりする。あれと同じで、ほんの少しの強く押したい、必ず対応してほしい、という気持ちが加わると、想像以上に感情を揺さぶってしまうわけだ。
なので、対策は「余計なひとことを入れない」シンプルなメールにすることに尽きる。
たとえば、「以前もお伝えしましたが」はまるまる取って「納品日は◯日となりますので」で終わらす。「お気づきだと思いますが」も削除して、「お願いしている書類がまだ届いておりません」とだけ書く、といった具合だ。
ちなみに前出の『ビジネスメール実態調査2018』によると、「ビジネスメールが上手いと感じた内容」の質問で、第1位が「文章が簡潔で分かりやすい」(65.50%)だった。変化球を多投するより、まずはストレートで勝負だ。
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