荒木大輔vs愛甲猛、1980年の夏もアツかった

38年前甲子園に降臨した一年生エースの躍動

早実はマスメディアの追い風を背中に受け、順調に勝ち上がっていく。2回戦で東宇治(京都)を、3回戦では札幌商業(北海道)を下した。荒木は甲子園でまだ1点も失っていない。荒木が振り返る。

「1回戦に勝ったあと、『たまたまうまくいっちゃったけど、もうないだろう』と思っていたのですが、それが重なっていったんです。本当に欲はなかった。僕はマスメディアの力が大きかったんじゃないかと考えています。相手に変なプレッシャーがかかって、勝手にミスしてくれた。僕が騒がれているのを見て、『1年のくせに』とか『舐めるなよ』という気負いもあったんじゃないでしょうか」

甲子園でバッターを抑えるうちに荒木は自分のピッチングに手応えを感じ始めていた。

「2試合目か3試合目かは覚えていないんですが、『こうすれば打ちとれる』というイメージがなんとなく湧いてきました。その通りに投げれば勝てる」(荒木)

試合後、負けたチームの選手は「1年生なんかに負けたくなかった」と語った。

愛甲も1年生エースで騒がれた男だった

準決勝で瀬田工業(滋賀)を8対0で下し、決勝進出を決めた早実の反対側では、強豪校がつぶし合いをしていた。優勝候補に挙げられていた横浜は1回戦で全国制覇の実績のある高松商業(香川)、2回戦では江戸川学園(茨城)に勝利。3回戦で鳴門(徳島)、準々決勝で夏連覇を狙う箕島(和歌山)、準決勝で天理(奈良)に競り勝っている。

横浜のエース・愛甲もまた1年生エースとして騒がれた男だった。荒木が降臨する2年前の1978年に甲子園の地を踏んでいる。愛甲が38年前を振り返る。

「2回目の甲子園は、『帰ってきた』という感じはありませんでした。キャプテンだったということもあるし、自分が成長したという実感もありました。甲子園に戻ってきたという喜びよりも、気持ちの高ぶりがすごかった。

1年生のときは相手のことがよくわからなかったけど、3年のときは気になる高校がありました。中西清起(元阪神タイガース)の高知商業(高知)、伊東勤(元西武ライオンズ)の熊本工業(熊本)や天理、箕島や早実には負けたくなかった」

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