スマホだけじゃない、病院を悩ませる「電波」

処方箋を提示したのは意外な会社だった

正常時の医用テレメーター(左)と、発信器を遠ざけた際の反応(右)。表示された心電図に乱れが生じている(記者撮影)

「この機器で患者さんの心電図をモニタリングしています」

埼玉県日高市、県内有数の医療機関である埼玉医科大学国際医療センターの一室。目の前に置かれたの医療用テレメーターに心電図が映し出されている。患者に小型の発信器を装着させると、心拍数などの生体情報を遠隔で観察できる医療機器だ。

「画面を見ていてください」

発信器を持った病院スタッフが部屋を出て、そのまま廊下を歩き続ける。扉を開けて別のフロアに移った瞬間、画面に映し出されていた心電図が乱れ始め、ついにぴたりと止まった。発信器からの電波が途切れたのだ。

こうした不具合は院内の実際の医療現場でも起きており、「看護師からたびたび報告を受ける」と、同センターで医療機器の保守点検を行うMEサービス部の松田真太郎氏は話す。

通信機器の「制限」から「活用」へ

一億総ケータイ時代。全国で基地局の建設が進み、都市部ではフリーWi-Fiが利用できる場所もぐんと増えた。そんな電波環境の発達した社会から、取り残されたのが病院だ。

携帯電話の技術革新により、病院をとりまく環境は大きく変わった。第2世代(2G)の携帯電話に代わり、電波の出力が弱い第3世代(3G)や第4世代(4G)が普及し、医療機器への影響が軽減された。

その結果、電波行政を管轄する総務省が2013年に公表した指針においても、病院のロビーや病棟での携帯電話の使用は基本的に問題はなく、診療室内でさえ影響は限定的としている。今や携帯電話の使用を全面的に禁止している病院は、古い指針を採用している小さな診療所や、通話マナーの側面から電源オフを要請している病院などに限られつつある。

むしろ最近は、病院から電波を排除するよりも、活用することに焦点が移っている。冒頭の医療用テレメーターに加えて電子カルテ、さらには無線で送信するレントゲン写真など、通信機能を搭載した医療機器は日増しに増えている。日常的に無線LANが飛び交う病院ロビーも珍しくなくなり、病院内での通信機器の存在感は高まっている。

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