昭和の東京を縦横無尽に走った「都電」の記憶 かつて日本橋も新宿駅前も電車が走っていた
1962(昭和37)年に登場した7500形も荒川線に引き継がれた車両である。1980年代には都電初の冷房車となり、車体も新しいデザインに更新されて、塗装もそれまでの黄色から白と緑の塗装へ一新された。こちらはすでに引退しているが、車体更新されなかった旧7500形が「都電おもいで広場」や、小金井市の「江戸東京たてもの園」に静態保存されている。
7000形や7500形の更新で面目を一新した荒川線には、その後新しい車両が次々と投入された。1990(平成2)年には7500形以来28年ぶりの新型として8500形が登場。パールホワイトに緑のラインと、明るい近代的なイメージを強調して荒川線のスター的存在の電車となった。
現在の主力は、車両によってさまざまな色のバリエーションがある8800形と8900形で、従来のデザインを一新した「東京さくらトラム」の愛称にふさわしい電車といえよう。また、レトロ電車といわれる9000形はダブルルーフ(2段屋根)など昔懐かしいデザインを再現しており、イベントにも使用できる車両として親しまれている。
路面電車は街の顔だ
このほど東京都交通局の2017年度決算が発表された。その概要によると、荒川線の乗車人員は1743万7000人(1日平均4万8000人)で、前年度に比べて76万5000人(4.6%)増加。乗車料収入は21億3900万円で、前年度に比べて8600万円の増収となったという。乗車人員の増加は喜ばしい傾向だといえよう。
筆者はかつてヨーロッパなどで路面電車のある都市を積極的に取材した。その都市の中央駅に降りると、その目前に路面電車乗り場があり、クルマが排除され人とトラムがしっかり守られている光景を見たとき、その都市の文化水準の高さ、市民の路面電車を見つめる優しい心を感じたものだ。特にスイス、ドイツ、オーストリアなどはその印象が感じられた。
我が国でも広島、富山、福井、豊橋などで新型車両投入をはじめとする路面電車活性化の機運が感じられるのはうれしいかぎりだ。宇都宮市のLRT新設なども進んでいるが、後戻りせず積極的な導入を強く望みつつ筆を置きたい。
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