死んでいる会社の「勘違い経営者」、4大共通NG 「御社のトップ」は大丈夫…?

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「死んでいる会社」の経営者によくある4大NGの3つ目は、「指揮者」として1つのハーモニーを生み出すことができないことである。

【3】社員の能力を引き出し、1つにまとめる「指揮者」になれない

経営者の3つ目の仕事は、会社の「指揮者」として社員たちの能力を最大限に引き出し、その力を1つに束ねて組織の力に変えることである。

 指揮者は、オーケストラという「共同体」のリーダーとして1つにまとめ上げ、音楽という感動を創造する。音楽家は「感動を創造する」のが仕事であり、経営者は「価値を創造する」のが仕事である。いずれも指揮者や経営者ひとりでは創造は実現できない。

「生きている会社」の経営者は、社員一人ひとりの個性、資質を見抜き、適材適所に配置し、1つの力にまとめ上げ、良質なハーモニーを奏でることができる。「指揮者」という仕事は、経営者にとって最大の醍醐味である。

「死んでいる会社」の経営者は「指揮者」としての力量に欠け、良質なハーモニーを生み出すことができない。どんなに優秀な社員がいても、バラバラのままでは1つの音楽にはなりえないのだ。

【4】「現場で汗をかく社員」を主役にする「演出家」になれない

「扇動者」「羅針盤」「指揮者」の3つの仕事はいずれも「表舞台」の仕事だが、経営者の4つ目の「演出家」という仕事は、「裏方」の仕事である

「生きている会社」の経営者は、社員たちを「舞台」の上に立たせ、社員たちを「主役」にしている。時にスポットライトを当て、演じやすい環境を整えている。名経営者と言われる人は、「名演出家」でもある。

しかし、「死んでいる会社」の経営者は、自ら舞台の真ん中に立ち、「主役」を演じることばかりに執着する。現場にスポットライトを当てることもせず、現場を覚醒させることも、社員たちの力を引き出すこともできない。しかし、「演出家」のいない舞台が輝くことなどありえない。

経営者だからこそ裏方の仕事を大事にする

経営者の4つの仕事の濃淡は、会社の成長ステージ、規模、競争環境などによって大きく変わってくる

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会社の草創期には「扇動者」「羅針盤」の仕事がとても大事であり、会社の基盤がある程度整ってくれば、「指揮者」として全体をとりまとめる仕事が重要になる。会社が安定期に入れば、「演出家」としての仕事が求められ、同時に、次なる成長に向けて「扇動者」「羅針盤」としての仕事も並行して進めなくてはならない。

皆さんの会社の経営者は、はたして「生きている」だろうか。「生きている経営者」が不在のままでは、「生きている会社」になれるはずもない。

権力ばかりを振りかざし、役員室に閉じこもり、現場にも行かず、社員たちとも交流しない「勘違い経営者」が闊歩する会社は、間違いなく死んでいく

まずは経営者自らが、本記事で紹介した4つの仕事をきちっとやり切る――。それこそが「生きている会社」へと変身するための第一歩である。

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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