竹下派が自民総裁選を「自主投票」にしたワケ

3年後のキングメーカーを狙った戦略なのか

竹下派の自主投票決定と並行して、これまで態度を明確にしてこなかった石原伸晃元幹事長が率いる石原派(12人)も9日の同派会合で首相支持を決めた。石原氏は会合後、記者団に「石原派は一致して安倍総裁の3選を支持することで了解を得た。アベノミクスで景気が拡大し、所得も改善している。この流れを確固たるものとすることが自民党の政治的な責任だ」と語った。

これにより、総裁選をめぐる党内各派の対応がほぼ決まり、首相支持が細田派(94人)、麻生派(59人)、岸田派(48人)、二階派(44人)、石原派の5派となる。さらに無派閥(73人)の約7割も首相支持と見込まれるだけに国会議員票では首相支持が約8割に達する状況となった。

ただ、石破派(20人)に加えて竹下派から参院組を中心に30人弱が石破氏支持に回ることで「石破氏は孤立無援ではなくなる」(石破派幹部)のも事実だ。特に、参院竹下派には、自民支持の全国組織代表として当選してきた複数の議員が含まれるだけに、党員・党友票にも一定の影響があるとみられている。

小泉政権から繰り返す総裁選での「派内分裂」

そもそも竹下派は、故・竹下元首相が創設した「経世会(旧竹下派)」が源流で、故・竹下氏に続いて、橋本龍太郎、小渕恵三(ともに故人)を首相の座に押し上げた「名門派閥」だ。同時に、宏池会(現岸田派)とともに故・吉田茂元首相の系譜を継ぐ「保守本流」と位置付けられてきた。

しかし、「経世会打倒」を叫んで長期政権を築いた小泉純一郎氏の首相就任以来、「保守傍流」とされた清和会(現細田派)が経世会(現竹下派)から政局運営の主導権を奪って最大派閥となり、次々と首相を送り出した。これに対し、有力な総裁候補を持たない経世会(現平成研究会)はその後数回の総裁選で、今回と同様の「分裂選挙」を強いられてきた。

このため、派内実力者の青木、吉田両氏らが昨年8月に総務会長に就任した竹下氏を中心とした「竹下派(経世会)復活」を目指し、今年3月に総裁候補も出せずに低迷していた額賀派を「参院のクーデター」によって竹下派に衣替えした。4月に会長に就任した竹下氏は自らの総裁選出馬は否定する一方、「総理総裁候補をどんどん輩出する強力な派閥になる」と「軍団復活」を目指してきただけに、今回の事態は「大派閥領袖としての力量不足を露呈した」(細田派幹部)との厳しい声も出る。

ただ、今回の竹下派の動きは、野党からも「安倍一色」(国民民主党)と揶揄されるほどの首相による1強体制にくさびを打ち込んだ側面もある。特に、参院自民の中核となっている吉田氏ら参院竹下派幹部が「あえて反安倍に舵を切った」(吉田氏側近)ことで、総裁選3選後も首相が人事や国会運営で参院に配慮せざるを得ない状況となったことは間違いない。

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