そして5月のゴールデンウイークを利用して、関西から母と妹が東京に遊びに来ることになったので、今度は河田を会わせることにした。
「婚活のことは、母や妹にまったく言ってなかったんです。でも、向こうの親御さんにもお会いしているし、いい機会だから紹介しました。4人で会食したんですが、河田さんは母や妹を立ててお話をしてくださって、2人とも“感じのいい方ね”と言っていたので、私の気持ちも結婚に向けて大きく舵が切れました」
お見合い後、交際に入り結婚へと向かえるかどうかは、この2人のように行動力が大事だ。婚活を何年も続けている人たちがいるが、交際に入っても積極的に動かないから、関係が進展しない。
前出の上田のように、普段はまったくメールのやり取りをせず、会う直前に事務連絡のようなメールを入れてくるタイプは、 “交際”から“真剣交際”に入れる可能性がほとんどない。
「体の相性」は本当にあるのか
真剣交際に入って1週間が過ぎた頃、文香から連絡が来た。
「河田さん、暴走しすぎです。私が、『箱根に水着で入れるスパがあるから、日帰りで行きませんか?』とお誘いしたら、勝手に内風呂のある温泉旅館を予約しちゃったんです。大勢の人が水着で入るスパと2人だけで裸で入る内風呂では、大きな違いですよ」
さらに、河田はこんな提案もしてきたという。
「河田さんのご両親が今度旅行に行くことになって、マンションが留守になる。『犬を飼っているから、面倒を見ないといけない。一緒に両親のマンションに泊まろう』っていうんです。急に男女の関係を迫り出したんですよ」
河田は、真剣交際をすでに婚約ととらえ、もう男女の関係になってもよいと思ったのだろう。むしろそうなることで、2人の絆をより強いものにしたかったのかもしれない。しかし、文香にとっての真剣交際は、“この男性と本当に結婚できるか”を慎重に見ている期間だった。
「体の関係になったら、女性はより気持ちが入ってしまう。だから、結婚の気持ちが固まるまでは、絶対にそういうことはしたくなかったんです」
文香のような考え方には、こんなことを言う人たちもいるだろう。「体の相性もある。そっちが合わなかったら、結婚しても不幸ではないか。結婚をする前に試したほうがいい」。
しかし、体の相性というものは本当にあるのだろか? “相性がぴったり”だと思って結婚した夫婦が、10年後も20年後もそう感じたまま新婚時代のような夜を過ごしているのか。相性とは、出会ったばかりの情熱や新鮮味やテクニックのことではないか。
そして、文香の言う“体の関係になると女性はより気持ちが入ってしまう”というのは真実だろう。一方で男性は、その関係になるまではオスの本能である“征服欲”で猛進するのだが、目的を達成すると盛り上がっていた気持ちがいったんストンと落ちる。
ただ文香からこの報告を受けたときに、男女の関係に“待った”をかけたことで河田が誤解をし、2人の気持ちがすれ違っていかないかが心配だった。
真剣交際に入った途端、こうした考え方や物事をとらえる価値観の違い、お金の問題などで、結婚がダメになっていくカップルは意外と多いのだ。
暴走を指摘され、箱根の温泉旅行もマンションの宿泊も拒否された河田は、相当落ち込んでしまったようだ。
そのときの様子を、文香は私にこう話してくれた。
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