東芝、見えない成長戦略と進む「リスク遮断」

残る損失懸念、LNG契約の損切りを示唆

一方、フリーポートは資源権益ではない。天然ガスのパイプラインや液化設備を20年にわたって利用する権利であり、義務である。LNGの原材料となる天然ガスは“ヘンリーハブ”というアメリカの市場価格連動で引いてきて、作ったLNGを顧客に売る。売り先を見つけられない場合でも、パイプラインや液化の費用を払う契約となっている。まったく売れない場合の最大損失が20年間で約1兆円に達する。

現在、正式な契約はほとんど結べていない。が、まったく売れないことは考えにくい。LNGにはスポット取引もあるため、そこで販売すれば1兆円までの損失は出ないはずだ(価格によっては益が出ることもありうる)。今年2月には平田CFOが「現状で年間100億円の損失リスク」(20年契約なので、トータルでは2000億円の損失リスク)と説明していた。

どれだけ長期の契約を結べるか

東芝としてはできるだけ長期で安定した契約を結べるかがカギとなる。調達価格が変動するため、販売価格が固定だと市況リスクを被る。そのため、天然ガスの調達価格に、液化や輸送のコストとマージンを乗せた販売価格を設定できればベストだ。大きなマージンは期待できないが、年間220万トンで20年間の売り先をすべて確定させれば問題ない。

反面、顧客に足元を見られて、調達価格に液化や輸送コストを乗せた価格以下での販売という契約になれば、損失を被る。また(考えにくいとした)固定価格での販売契約を強いられれば、損益は調達価格(ヘンリーハブ+α)次第となる。

平田CFOが認めるように、LNG販売は東芝のコア事業ではない。そうした事業で得られるかもしれないリターンと抱えるリスクのバランスが取れていないことが問題だ。

成長施策が見当たらないという課題とは別に、フリーポートを損切りできるならばそれは間違いなく今後の東芝にとってプラス材料となる。

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