GAFAの経営戦略、実は「古くさい」ものばかり

「覇権の4強」を経営戦略から読み解く

GAFAは事業投資における評価の仕方や、従業員やチームの管理や評価の仕方も優れていると感じています。

詳しくは拙著に譲りますが、たとえばスタートアップは「重要業績指標管理(KPI)」を中心に事業運営の重要な点に視点を絞って経営を行う利点が大きいと思われます。自社の事業の仕組みを丹念に理解し、それに基づいて各人の自由度を残しつつも、構造的かつ網羅的に、数値ベースでの明確なマネジメントが導入されています。もちろん、完璧ではありませんが、学ぶべき点は多いはずです。

琴坂 将広(ことさか まさひろ)/慶應義塾大学環境情報学部卒業。博士(経営学・オックスフォード大学)。小売り・ITの領域における3社の起業を経験後、マッキンゼー・アンド・カンパニーの東京およびフランクフルト支社に勤務。同社退職後、オックスフォード大学サイードビジネススクール、立命館大学経営学部を経て、2016年より現職。上場企業を含む数社の社外役員および顧問、仏EHESSのアソシエイト・フェローを兼務。専門は国際経営と経営戦略(写真:琴坂氏提供)

また、事業投資でいえば、フェイスブックがインスタグラムを約10億ドルで買収したり、スマートフォン向けのメッセージ・サービスであるワッツアップを190億ドルで買収したりしましたが、こうした意思決定は、将来の事業評価を割引キャッシュフローで評価する考え方では難しい意思決定です。リアルオプションの考え方や、ゲーム理論の考え方など、論理的でありながら、少し進んだ考え方で議論を重ねなければ、なかなかできない意思決定です。

事業戦略のレベルにおいても、彼らは単純にそれぞれの自社のサービスで自分の目の前にいる競合他社だけを見ているのではなく、自社にとって有利なゲームのフィールドとなるよう、政府との交渉やロビイングなどを駆使した「制度戦略」で、できる限り自社にとって有利な競争環境を作り上げよう、それを保とうとしているように思えます。

組織内部のカルチャーについても同様です。グーグルで働く人が「グーグラー」と呼ばれているように、独特の行動指針やカルチャーが浸透しており、それが単なる金銭的報酬を超えた働くモチベーションにもつながり、そして組織内部での円滑な協業を可能にしています。

結果論ですが、GAFAは現代の競争環境において大きく成功している顕著な事例です。後付け解釈にはなってしまいますが、GAFAはまさに私が議論している経営戦略が体現されている事例として解説することももちろんできるでしょう。

GAFAの強さは人材にあり

――GAFAの強みの源泉は「人材」だとお考えですか。

もちろん、ほかにもさまざまなファクターがありますが、やはりいちばん大きいのは人材です。GAFAには、今より少し前の世代で成果をあげた人々が結集しています。ITで成功してストックオプションを手に入れた元マイクロソフト社員だとか、Skypeを成功に導いた人だとか、要するに新しいビジネスをわかっているGAFA以前の人たちが、GAFAに入っていくことによって、前世代で蓄積されたノウハウや知見が現代に向けて再編成されているといったイメージでしょうか。

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