GAFAの経営戦略、実は「古くさい」ものばかり 「覇権の4強」を経営戦略から読み解く
フェイスブックも、私の行動履歴をトラッキングしていますので、私の興味関心のキーワードのデータベースをいつの間にか構成しています。これがすべてではないような気もしますが、実際に、自分を彩る広告向けのキーワードは自分のページから確認することができます(編集部注:「設定→あなたのFacebookデータ→個人データ管理ツール→広告→広告設定→趣味・関心」にて確認ができる)。私の場合は車の話が非常に多い。これも一度消したのですが、1カ月後に見たらまた増えていました。
経済・社会のパワーバランスを変える可能性
こうしたことは、99%の人は意識しないまま、ただ便益を享受しています。私たちが「楽しいな」「便利だな」と思って、だんだんとGAFAに情報や権利を与えています。これは独裁者が社会において権限を獲得していくプロセスにも似ています。誰しも最初から独裁者に独裁の権限を与えるのではないのです。多くの場合、こうした社会を破壊する個人や組織は、既存の社会や人々の合意のうえで次第に権力を掌握していきます。多少強引であることはあっても。もちろん、GAFAは極めて慎重に物事を進めています。幾多の失敗もありましたが、謙虚な姿勢は崩していません。しかし、彼らが暴走したときにどうなるのか。わからないからこそ不安を抱くわけです。
また、シンギュラリティ(技術的特異点)という言葉があります。今は技術的なブレイクスルーのタイミングに差し掛かっていると多くの人が指摘しています。おそらく、そうした技術的なブレイクスルーの転換点では、経済や社会のパワーバランスも大きく変わります。
わかりやすい例で言えば、核技術は間違いなく戦後世界経済と社会のあり方に大きな影響力を与えました。大国同士が戦争をすること、というのが人類が一瞬で消滅する危険性と同義となったのは、その後の世界の枠組み形成に大きな影響を与えています。
GAFAは、次の時代に1つのカギとなるオンライン空間上の支配権を握る可能性があり、データの所有権を持とうとしている強力なプレイヤーです。彼らがどう動くかによって、特異的に変化するであろう未来、その構造が大きく変わっていきます。そこに対する期待と不安も、一方ではあるのではないかと思います。
どうなるかというのは、誰にもわかりません。もしかしたら、パワーを持っているGAFA自身もわかっていないかもしれない。もちろん、栄枯盛衰が繰り返され、GAFAも力を失う事態が一瞬で到来するかもしれない。
私にもGAFAに勤める友人が何人もいます。皆、とても優秀です。パッションを持っていて、社会を良くしようと信じており、使命感を持って日々の仕事に取り組んでいます。しかし合成の誤謬が起きる可能性も捨てきれません。世界最高水準のタレントたちの意思決定が合成される結果として、世界が誤った方向に行く、ということはありえます。数千年の歴史を振り返れば、良心の集合体としての組織であっても、いつの間にかその方向性がゆがみ、振り返れば凄惨な悲劇を主導することとなった悲劇が多数発生してきました。
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