安倍首相が石破氏との一騎打ちで狙うライン 総裁選で得票差が2倍以下なら1強に陰りも

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一方、全体の半分を占める地方票は「ふたを開けてみなければ分からない」(総裁選管理委)とされるが、大半を占める議員系列や各種職域団体の党員・党友票は「組織票」とみられており、圧倒的な議員票を反映して、首相支持が石破氏支持を圧倒するとの見方が広がっている。

大手メディアが実施した総裁選に関する情勢調査でも、自民支持層に限れば首相が石破氏の3倍前後の支持を集めている。だからこそ、首相サイドは「トリプルスコアでの圧勝」を目標にしているのだ。競馬に例えれば「向こう正面でつけた大差をそのままキープ」(細田派)することで、「自動的に結果がついてくる」(同)という読みだ。

現状では圧勝確実とされる首相が、総裁選での最大の争点に「憲法改正」を掲げたのは、首相主導の「改憲案」に異議を唱える石破氏を総裁選で圧倒することで、党内を「安倍改憲」に一本化する狙いからだ。その上で、秋の臨時国会で衆参両院憲法審査会の改憲論議を一気に進め、来年の通常国会会期末までの「国会発議」を目指す戦略とみられる。

根強い1強批判が「圧勝戦略」の死角

ただ、こうした「圧勝戦略」の死角となりそうなのが「強権的手法に対する反安倍票の拡大」(自民幹部)だ。大手紙の最新の世論調査でも「首相による1強政治」については自民党支持層でも「よくない」が5割を超えている。石破陣営では「これがそのまま党員・党友の投票行動に反映すれば、地方票では首相と互角の勝負ができる」(石破派幹部)との期待が広がる。

たしかに、6年前の総裁選において、決選投票で敗れた石破氏だが、第1回投票の地方票では「165票対87票」で首相を圧倒した経緯もある。今回総裁選で、石破氏が「自由にものが言える自民党にするべきだ」などと"1強批判"を繰り返すのも、地方票で「潜在的安倍批判票」の掘り起こしを狙っているからだ。ただ、現状の議員票での大差を覆すほどの地方票での地滑り的石破支持は「ほとんど可能性がない」(自民幹部)とみる向きが多い。「総裁選は結局、首相の3選のための消化試合になる」(同)との見方が定着しているのだ。

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