東京の「満員電車ゼロ」は複々線化でも困難だ

通勤輸送対策に携わった鉄道会社OBが語る

複々線が完成し混雑率が大きく低下した小田急線だが、それでも混雑率100%の「定員輸送」にはならない(撮影:梅谷秀司)
「満員電車ゼロ」を公約に掲げた小池百合子氏が東京都知事に就任してから約2年。通勤時間帯をずらすことでラッシュの混雑緩和を狙う「時差Biz」のキャンペーンが今年も7月9日~8月10日の間行われている。
一方で、国土交通省が7月に公表したデータでは東京圏の11路線で混雑率が180%を上回っており、依然としてラッシュ時の激しい混雑は続いている。はたして「満員電車解消」は可能なのか。小田急電鉄OBで、高度経済成長期の通勤輸送対策や複々線化計画などに携わった鉄道研究家の生方良雄(うぶかた よしお)さんに聞いた。

線路を増やすしかないが…

――かつて平均混雑率が200%を上回っていた時代より緩和されたとはいえ、通勤時の混雑は依然として大きな課題です。生方さんの経験では、通勤ラッシュの混雑はいつ頃から本格化しましたか​。

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小田急では、朝の通勤ラッシュの対策は1951~52(昭和26~27)年ごろにはすでに課題になっていました。混雑率が200%を上回っていた頃は、どこまで下げるのを目標にするのか、いろんな議論がありました。160%程度とか、120~130%まで下げなきゃダメだとか。私は、複々線が完成するまでは下がっても10~20%だろうと思っていました。

――国交省が7月に公表した混雑率では、東京圏の主要路線・区間のうち11路線で今も混雑率が180%を超えています。

やっぱり、180%を超えている路線は何とかしなきゃいけないと思います。ただ、各線ともすでに輸送力はギリギリいっぱいです。というのは、仮に複線で可能な最大の輸送力として、1時間当たり30本を運転した場合の混雑率を計算してみても、現状より大幅に下がる路線はほとんどありません。つまり、今の状態でほぼ限界の輸送力ということになります。

――小池知事が「満員電車ゼロ」の目標を掲げた際、「2階建て電車」の導入や、信号システム改良による増発などで混雑を緩和できるという意見が注目を集めました。

確かに2階建て電車だとか、信号システムの変更だとかで通勤ラッシュを改善するアイデアは面白いですが、実際に通勤電車を利用している人はそれで混雑を改善できるとは思わないでしょう。ただ、都知事もそうでしょうが、普段乗っていない人はそれで改善できると思っちゃう。そう思われてしまうのは問題です。

抜本的に変えるには、やっぱり線増(線路を増やす)しかないでしょう。それでもほとんどの路線で、混雑率100%の定員輸送は難しいのです。

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