あの発言は「杉田水脈氏だけの問題」ではない

「自民党と自称保守」を支配している根本思想

私はむしろ、この記事を読んで「驚いた」という感想が多かったらしいことに対して、かなり驚きました。いったい、彼女の主張のどこに、いまさらあらためて驚くべきことがあるのでしょうか。

彼女が書いていることは、特にここ約20年来の自民党が、もろもろの政策の根本思想として、陰に陽に言い続けてきたことの、単なる「リピート」でしかありません。だからこそ彼女は、たちまち批判が噴出して「炎上」した際にも、あっけらかんと、「うちの党のエライ人は、問題ないって言ってくれてますよ?」などと、開き直ることができたのです。おそらくあれは、彼女のごく素朴で単純な本音だったのでしょう。

「何騒いでるの? みんなそう言ってるじゃん?」という感覚でしかなかったはずです。そして現に、自民党は当初、彼女の発言を問題視しないという見解を示し、それでも後を絶たない激しい批判を目の当たりにして、やっと慌てて「注意」を与えたにすぎなかったわけです。

「生産性」は教育改革の根本思想

「生産性」という概念は、本来「物」に対して使うものだ。それで人間の価値を測ろうとするなど、もってのほかだ。こういう批判が相次いでいます。

まったくそのとおりなのですが、しかし、この「生産性」の思想は、もうかれこれ約20年来、たとえば一連の教育改革において、あまりにもあからさまに語られ続けてきたものです。これはすでに、わが国において、幼児教育から高等教育(大学教育)まで、すべての学校段階を貫く、教育政策の根本思想なのです。

たとえば大学は、「役に立つ人材を作れ」との掛け声の下に、さまざまな「改革」を強いられています。「役に立つ」というのは、「生産性がある」という意味ですし、だから大学は、「人間を育てる」のではなく、「人材を作る」ことをしなければならないのです。

さらに、その「人材」を「作る」ための方法として、導入を義務づけられているのが、いわゆるPDCAサイクルです。これは、もともと工場で生産する製品の「品質管理」の方法です。こんにちの大学は、学生を「製品」と見なして「生産」し、それを「品質管理」することを、法律によって強制されているのです(詳しくは、藤本夕衣・古川雄嗣・渡邉浩一編『反「大学改革」論――若手からの問題提起』ナカニシヤ出版、2017年を参照)。

さらに、ここ数年、小中学校での「教科化」が話題になっている「道徳教育」もまた、じつは、まさにこの「生産性」の思想に基づくものにほかなりません。

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