「阪急今津線」使いこなせば幹線並みに便利だ 昼間の「ほのぼの路線」とは違うもう一つの顔

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ところで、1995~2001年にかけて平日夕ラッシュ時に神戸本線・今津北線経由の梅田発宝塚行き準急が設定されていたが、今津北線内での利用が芳しくなく短命に終わった。なお、仁川駅の近くにある阪神競馬場でレースが行われる際は乗客数に応じて、仁川発梅田行き臨時急行が設定される。臨時急行の停車駅は塚口と十三で、準急が停車する甲東園、門戸厄神には止まらない。

また、意外と知られていないが、今津北線は神戸市東部や芦屋市から三田、丹波方面へ向かう際も役立つ路線である。たとえば、阪急の芦屋川、JRの芦屋から三田へは以下のとおりになる。

芦屋川―三田(阪急神戸線、今津北線、JR宝塚線経由):47分、540円
芦屋―三田(JR神戸線、JR宝塚線):44分、840円

3分ほど所要時間が異なる増えるものの、300円の料金差は大きい。また、阪急宝塚駅とJR宝塚駅は真向かいにあり、相互の乗り換えがとても便利だ。阪急はこの利便性をもっとPRしてもいいように感じる。

阪急、阪神統合の象徴

梅田行き直通列車が走る今津北線に対し、今津南線はワンマン改造された3両編成が西宮北口―今津間を往復している。今津駅では阪神本線と接続しており、阪急神戸線と阪神本線をつなぐ連絡線のような役割を果たしている。阪急電鉄と阪神電気鉄道は2006年に経営統合されているが、ここで紹介する今津南線は阪急・阪神の経営統合を象徴する路線ともいえる。

今津南線(阪神国道―今津間、筆者撮影)

今津南線は西宮北口駅5号線ホームから発車する。5号線ホームは2010年に高架化され、神戸線や大型ショッピングセンター、阪急西宮ガーデンズからのアクセスが格段に改善された。5号線へ指し示す看板には大きく「今津(阪神電車乗換)」と書かれている。経営統合前は西宮北口駅で「阪神」の文字を見ることはなかった。この看板を見るたびに阪急と阪神が経営統合したことを実感する。

今津南線にある唯一の中間駅が阪神国道駅だ。ここでいう「阪神国道」は大阪と神戸を結ぶ国道2号線を指す。かつて、国道2号線には野田と東神戸を結んだ路面電車、阪神電車国道線があり、現在は阪神バスが走っている。阪神国道駅に最も近い阪神バスの停留所は「阪神国道駅前」だが、2009年3月まで長年にわたり「北今津」を名乗っていた。このように、バス停からも阪急、阪神の経営統合の影響が見られる。

阪急今津駅から阪神今津駅までは徒歩3分ほどでスムーズに乗り換えができる。ただし、阪神今津駅は平日と土休日により停車する種別が異なるので注意が必要だ。平日は普通、急行、区間特急が停車するのに対し、土休日は普通、急行、快速急行が停車する。しかも、快速急行は梅田へ向かわず、西九条、大阪難波から近鉄奈良へ直通運転をする。利用客が今津駅であわてないようにするためには、西宮北口駅5号線ホームに今津駅で乗り継げる阪神本線の列車を電光掲示板で案内すればいいだろう。阪急と阪神が互いに利用しやすくなるために、より一層の工夫をしてほしい。

新田 浩之 フリーライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

にった ひろし / Hiroshi Nitta

1987年兵庫県神戸市生まれ。2013年神戸大学大学院国際文化学研究科修了。関西の鉄道をはじめ、中欧・東欧・ロシアの鉄道旅行、歴史について執筆。2018年にチェコ政府観光局公認の「チェコ親善アンバサダー2018」に就任。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事