4Kテレビで「4K放送」が見られない深刻問題 認知度は1割強、放送開始前でも誰も知らない
だが8月上旬、秋葉原、東京、有楽町、上野、池袋と、都内の主要駅近くの家電量販店の売り場を歩いてみたものの、業界大手の店舗ではポップの掲示を見つけることができなかった。積極的に取り組む中堅の店舗もあるというが、足並みはそろっていない。
リーフレットは特段、目立つ場所に置かれておらず、店員に質問を投げかけてみても、必ずしも4K放送の視聴方法について説明されるわけではない。これでは、顧客が4K放送視聴における注意点を知るのは無理がある。総務省は注意書きのポップを掲示しない店舗があることを認識しており、さらに働きかけを強める方針だ。
慎重姿勢の各メーカー
とはいえ、ひとえに量販店に責任があるとも言いがたい。売り場で製品のマイナス面を大々的にアピールするわけにはいかないだろう。4Kテレビには液晶と有機ELがあり、多数のモデルが売り場に並ぶ。限られた時間で顧客のニーズを聞き出し、製品を選び、特徴から注意事項まですべてを説明するのは難しい。さらにいえば、そもそも大半の顧客が4K放送について知らないため、視聴方法を聞かれること自体多くないようだ。
メーカー側はどうか。実は、現行の機種で4K放送が見られるのは、6月に東芝映像ソリューション(2018年3月から中国ハイセンス傘下)が発売したチューナー内蔵型の「4K液晶レグザ」しかない(10月以降に送付されるBS/CS 4K視聴チップを装着することで視聴可能)。
ほかの大手メーカーはチューナー内蔵テレビの発売時期を明らかにしていない。各社に問い合わせると、「検討中」(ソニー)、「検討しており、タイミングを見て発売」(パナソニック)、「検討しているが詳細は未定」(シャ-プ)といった回答だった。放送開始の12月までに、各社のテレビが出そろわない可能性もある。
各社がチューナー内蔵テレビの発売に慎重なのは、4K放送に対する認知度が低いため、より高価格になってしまう内蔵テレビのニーズを見極めたいという思惑があるからだろう。製品が先行していないことは4K放送の知名度が低い一因だが、メーカーの判断は合理的ともいえる。
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