4Kテレビで「4K放送」が見られない深刻問題 認知度は1割強、放送開始前でも誰も知らない
一方で、チューナーについては、パナソニックは10月中旬、シャープは11月下旬、東芝映像ソリューションは今年秋、ソニーは今年中に発売予定と公表している。チューナーの発売が放送開始に間に合わない、という最悪の事態は避けられそうだ。
量販店やメーカーの事情に加えて、4K放送は、そもそも多くの視聴者を抱える地上波と無縁であること(地上波は今後もハイビジョンの放送を継続)。地デジ化の時のように、従来のテレビが見られなくなるわけではないこと。薄型テレビへの買い替えを狙った家電エコポイント制度(2009年開始)などの経済政策が打たれていないことも、周知が進まない一因だろう。
視聴者に求められる知識
今後は4K放送でどんな番組が放送されるかがポイントだ。秋頃には各局の放送内容が明かされる見通しで、視聴者の関心を引きつけられるかが勝負になる。民放首脳も「地デジ移行のときと同様、普及に必要なのは放送局がどんなコンテンツをそろえられるかだ」と語る。
こうした動きに合わせ、A-PABは動画やテレビCMの放送、イベントなどに力を入れる。イベントではIT見本市の「CEATEC JAPAN 2018」(10月)や映像・通信の展示会「Iner BEE」(11月)などに出展。そのほか、総務省と連携した展示や地方の民放局、NHKと協力したイベントなどで一気に4Kに対する理解を広める考えだ。
野田聖子総務相も、6月に行われた新4K8K衛星放送開始の半年前セレモニーで「チューナーやアンテナの交換などが必要になることをご存じない方が多数いる。視聴者に混乱が生じないよう丁寧な説明と周知徹底をお願いします」と呼びかけている。
総務省をはじめ、関係団体や企業は、広報の強化と視聴者保護の取り組みを急ぐ必要がある。視聴者側も多少の知識は必要だ。現在、4Kテレビ購入を検討している人は、自分が見たいコンテンツが見られるのか、本当にニーズに合っているのか、機能や仕様をよく確認してから購入に踏み切るべきだろう。
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