日本の若者はアジア市場で勝てるのか? 岡崎仁美「リクナビ」編集長×森山たつを対談(2)

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インドとベトナム、「セカ就」するならどっち?

岡崎仁美(おかざき・ひとみ) リクナビ編集長兼就職みらい研究所所長。1971年生まれ。京都大学卒。1993年、株式会社リクルート入社。以来、一貫して人材関連事業に従事。営業担 当として中堅・中小企業を中心に約2000社の人材採用・育成に携わった後、転職情報誌『B-ing関東版』副編集長、転職情報サイト「リクナビ NEXT」編集長を歴任し、2007年より就職情報サイト「リクナビ」編集長。2013年3月に「就職みらい研究所」を設立し所長に就任。

岡崎:その流れで言うと、これからは中国よりも人口が増加するであろうインドのほうが、注目されているように思います。しかし、海外インターンシップを大学のカリキュラムとして取り入れようと検討されている方々に話を聞くと、英語が公用語であることに加え、宗教も生活スタイルもかなり違うという理由もあって、インドでのインターンは、導入までのハードルが極めて高いようです。

森山:インドは就職するとなると、生活面でいろいろと大変です。インドネシアはもちろん、ベトナムやカンボジアと比べても、衛生面が非常に厳しい。舗装していない道路が多いので砂ボコリで目がやられますし。また、インドは税関が厳しいらしく、輸入が容易ではない。だから、日本のモノを手に入れるのが困難なのです。

食べ物についても、私は世界一周旅行をしながら50カ国以上で現地の屋台食を食べたのですが、食中毒を起こしたのはインドとバングラデシュだけでした。それから、日本料理店の数が少ないのです。バンガロールは800万人以上の人口を有する大都市ですが、日本料理店が2、3軒しかありません。日本人にとって現地のインド食は何を食べてもカレーの味がするし、辛いんですよね。

また、宗教的な理由で州によって牛肉や豚肉が食べられなかったり、お酒の入手が困難だったりと、現地にすぐ慣れてしまう人にとってはどうってことないのですが、多くの日本人にとっては生活するのに苦労が耐えない国だと思います。

実際、インド在住の日本人の数は極端に少なくて、あの広大な国にまだ6000人程度です。インドネシアの在留邦人1万2000人、タイの5万人と比べると、その差は顕著です(外務省「海外在留邦人数調査統計」より)。

そう考えると、ベトナムってちょうどいいんです。日本料理店もそこそこあるし、普通にベトナム料理も口に合う。フォーとかは日本の麺類に近いです。確かに、ベトナム語は難しいことで有名ですし、公共交通機関が発達していないので、バイク地獄の道路では交通事故に遭うリスクが大きいのですが、安い物価と、東南アジアの中では比較的によい治安を含めて、日本人にとっては暮らしやすい。

加えて、ベトナム人は非常に勤勉で、東南アジアでいちばんまじめに働く国民だと言われていますし、英語や日本語を話せるベトナム人も増えてきています。私も、日常的に日本語が話せるベトナム人と仕事をしているのですが、彼らの日本語のうまさと仕事の正確さは、すばらしいものがあります。敬語の使い方は、日本人の大学生のアルバイトよりも上手だったりする。中には日本語検定1級と漢検2級を持っている人たちもいるんですよ。

そういう点でも、日本人と相性が合って「セカ就」した場合、一緒に働きやすいのかなと思います。

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