「愛媛のみかん」豪雨で受けた甚大被害の全容

宇和島市の農業関係で150億円にも上る

宇和島市の大宿昌生(おおじゅくまさお)市長公室長は「被害を免れた農園もあります。吉田は愛媛みかんの発祥の地でもあり大切な産地です。秋に向け農家さんがなんとかみかんなどを出荷することができるよう市としてもできるかぎりの支援をしていきたいです」と、状況を説明します。

しかし、復旧までの道のりは簡単ではありません。町の浄水施設が破壊され、今も断水が続いています。

被災後に農家の方が摘果して道路に散乱した青みかん。今この作業をしないとおいしいみかんができなくなる(写真:GARDEN Journalism)

国や自衛隊の協力で8月上旬には上水道の復旧ができる見込みだということですが、農業にとって水はかけがえのない存在。特に今は、小さな青い果実でしかないみかんにとって水は命そのものです。病気を防ぐための消毒作業や、余分な実を落とす「摘果」が必要な時期です。水道管やスプリンクラーが破損し、農道が土砂に埋まってしまった場所もあります。農家が自分の畑にさえ入れない場所がいくつも残されたままです。

産地を「絶対に守る」と奮闘する農家に出会った

そうした中、「必ず秋においしいみかんを消費者に届ける」と決意し、奮闘を続ける農家の方に出会いました。

宇和島市吉田町で柑橘農園を営む小清水千明(こしみず ちあき)さん、57歳。

小清水さんの畑につながる唯一の道が豪雨と河川の氾濫で大きく陥没(写真:GARDEN Journalism)

農園では13種類のみかんを育てています。しかし、今回の災害で、土砂の崩落により畑の一部が壊され、スプリンクラーなどの農業器具も破壊されました。河川の決壊で、山のふもとから畑につながる市道の一部が陥没し、農作業のための軽トラックも、復旧のための重機も入ることができなくなってしまいました。

小清水さんは、「このままでは残ったみかんもだめになってしまう」と、道路の復旧工事を市に依頼しましたが、住民のための生活用道路の再建が急務、「待ってほしい」という反応が返ってきたといいます。

しかし、小清水さんはあきらめません。

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