「超売り手市場」をフイにする3つの就活行動 先輩の「楽勝発言」を鵜呑みにしてはいけない

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充分な企業研究の結果としてなら心配はないが、インターシップに参加したことで安心し、逆に視野が狭くなっていないだろうか。職業体験を通して仕事への理解、企業への理解が進むのは、インターンシップの大きなメリットだが、その経験をきっかけにさらに職業選択の視野を広める意識を持つことが重要だろう。

3 順調に内定はもらえたが、企業研究が不十分で迷いが出てしまったケース

企業の採用意欲は引き続き旺盛だ。優秀な人材と見れば、他社に先駆けて選考を進め、早めに内定を出す企業が増加している。その傾向は来年も続くものと思われ、「3月広報解禁、6月選考開始」という、経団連が指針にしているスケジュールは変わらなくても、説明会の開催、エントリーシートの締め切り、面接の実施と、企業側の動きは今年以上に前倒しで進むと予測される。

3月以降はじっくり考える余裕もなく、気がついたら内定が出ていたというケースも増えてくるだろう。しかし、企業研究が不十分では、本当に納得して内定を承諾することは難しい。大切なのは、比較検討すること。宿泊予約、航空券の購入、レストランでの飲食などの例を出すまでもなく、普段の生活で情報を比較検討することなく、結論を出すことなどないのではないか。

まして、一生を左右する可能性がある就職先の決定で、企業を比較検討することなく結論を出すことは、避けるべきだ。短期決戦の就活だからこそ、志望度の高い企業に関してはじっくり企業研究する時間を確保したい。

2020年卒では企業側の動きがさらに早まる?

2018年4月に企業向けに実施した「2019年卒マイナビ企業新卒採用予定調査」によると、2019年卒の大学卒生(院卒含む)の採用予定数は、2018年4月の実績入社者数と比較して、16.8%増加している。2020年卒の採用に関しても、恐らくその傾向は変わらないだろう。企業にとっては引き続き採用難が続くと思われ、企業側の動きは今年以上に前倒しになると予想される。

就活生にとっては好ましい状況に変わりはないが、納得のいく内定を獲得するためには、本選考でのエントリーはもちろんのこと、インターンシップでもできるだけ視野を広げることを意識して取り組むべきだろう。さまざまな企業で職業体験することで、仕事の進め方の違い、求められる能力の違い、企業文化や社風の違いなどが見えてくるはずだ。

この夏、インターンシップへの参加を予定している学生も多いだろうが、インターンシップに参加したからと油断することなく、さまざまな業界や企業を“比較検討”して、その中から自分が納得できる企業を見つけ出すという姿勢を忘れないでほしい。

吉本 隆男 キャリアライター&就活アドバイザー

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よしもと たかお / Takao Yoshimoto

元マイナビ編集長。1960年大阪生まれ。1990年毎日コミュニケーションズ(現:マイナビ)入社。各種採用広報ツールの制作を幅広く手がけ、その後、パソコン雑誌、転職情報誌の編集長を務める。2003年より就職情報サイト「マイナビ」の各種コンテンツ制作、プロモーション施策の立案・実施を担当。2015~2018年までマイナビ編集長を務める。2019年からは地域創生をテーマとした高校生向けキャリア教育プログラム&教材の開発に従事。2020年定年退職を機にキャリアライター&就活アドバイザーとして独立。日本キャリア開発協会会員(CDA)、国家資格キャリアコンサルタント。著書に『保護者に求められる就活支援』(2019年/マイナビ出版)

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