福島はなぜ「水力発電」の増強を目指すのか 経済復興・自立のため人々は立ち上がった

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人が集まるような産業に投資しなければ、福島の復興はありえません。その点、再エネはこれからの日本社会に必要であり、必ず大きく需要を伸ばす分野だと見込むことができます。

2011年に福島県は「2040年までに、福島県のエネルギー需要の100%相当量を再生可能エネルギーで生み出す」という計画を決定しました。これはまさに、再エネ先進県を目指すという宣言です。特に、水力には福島県の産業全体を新しくするのにふさわしい特徴があります。

私が2016年に出した『水力発電が日本を救う』で、日本の水力発電には大きな潜在的な可能性があり、発電量を2~3倍に伸ばせること(21世紀の日本は「ダム」によって救われる!参照)を述べたところ、各方面から「もっと内容を詳しく知りたい」というお声をいただきました。特に熱心だったのが福島県の人々でした。

福島で講演会を行ったところ、水力発電増強の計画を立てて実践すべきだという私の主張に、政官民を問わず多くの賛同が得られたことが機縁となり、2017年6月に福島水力発電促進会議が発足しました。

「水源地域還元方式で」地域経済の活性化を目指す

福島水力発電促進会議では「水源地域還元方式」を提唱しています。このやり方では、水力発電で増えた分の電力から上がる利益の一部が地元にもたらされます。

若い人を募集して森林整備をきちんとやると、山の保水性が高くなって、ダムの水の量が増えます。水力発電の利益が増えて、ますます安定するようになります。雇用が安定し、長期間にわたって定住できるわけです。

水力発電の増強は再エネ開発というだけでなく、過疎に悩む地域社会を活性化させ、地域の人口を安定化させる効果を持つので、人口減少の危機にある福島県にとって、その意味でもふさわしいと言えます。

福島県は2011年以来、衰退の危機にあります。そこから立ち直るためには、どうしても再エネ先進県になる必要があり、その中核とすべく、私たち福島水力発電促進会議は、水力発電増強に取り組んでいるということなのです。

竹村 公太郎 元国土交通省河川局長、日本水フォーラム代表理事

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たけむら こうたろう / Koutaro Takemura

1970年東北大学大学院土木工学修士課程修了、同年、建設省(現・国土交通省)入省。中部地方建設局河川部長、近畿地方建設局長を歴任し2002年国土交通省河川局長を最後に退官。2004年リバーフロント整備センター理事長。2014年同研究参与。2006年日本水フォーラム代表理事・事務局長。著書に『日本文明の謎を解く』(清流出版、2003年)、『土地の文明』(PHP研究所、2005年)、『幸運な文明』(PHP研究所、2007年)、『本質を見抜く力(養老孟司氏対談)』(PHP新書、2008年)、『日本史の謎は「地形」で解ける』(PHP文庫、2013年)など。

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