とはいえ、でたらめでは困るけれど、2~3分の遅れなど定時の範疇だと思っている感覚に慣れてしまうと、意外に人間的で心地よいものに思えてくる。これは、社会のありようとも関わってくると思えてならない。
定時運行が至上命令でありながら、最近の大都市圏の運行状況は、以前に比べると何だか心もとないものになっている。それは、複雑すぎる乗入れや長距離の直通運転の弊害でもあろう。便利になれば人が殺到し、その影響でドアの開閉に手間取ったり、急病人や乗客トラブルも発生する。路線によっては遅れが常態化し、定時運行も怪しいのが実態だ。でたらめでは困るけれど、2~3分の遅れは許容できるゆとりある社会であってほしいと考えるのは筆者だけであろうか?
「次の休み」の予定が立たない!
5)指定券予約は1カ月前からは当然か?
旅行計画を立てる時、ホテルや航空機の予約はかなり前から予約できる。大手航空会社の国内線は2カ月前から、格安航空のLCCは、半年前から予約できることもある。それに対して国内の鉄道の指定席予約は、JR各社、私鉄ともに原則として1カ月前からである(「えきねっと」のように、発売開始日よりさらに前倒しで、その1週間前ということもあるが)。
欧米の場合、何カ月も前から予約を受け付けている例もある。最近は、インバウンドで海外から日本の鉄道を利用する訪日外国人も増えているが、こうした「鉄則」に戸惑っている人も少なからずいるようだ。それなら、鉄道利用をやめようかという話にもつながってくる。日本人でも鉄道の事情に疎ければほかの交通機関に逃げてしまうこともあるだろう。長い目で見て、1カ月前という鉄則が鉄道離れにつながらなければいいのだが……。
6)自由席は鉄道だけ?
新幹線などJRの優等列車には指定席のほかに自由席がある。全車指定の列車も増えてきたけれど、自由席は一般的であり、指定席よりも安価なこともあって愛用者は多い。しかし、よく考えてみれば自由席というのは鉄道だけのことではないだろうか?
航空機は、定員オーバーはありえないから全席指定であるし、高速バスも全席指定である。定員制といって座席の数以上は発券しないシステムのこともあるけれど、鉄道のように座れなかったら立ったままで過ごす自由席というものはあり得ない。
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