2)通勤車両のロングシートは当然か?
ラッシュ対策としてひとりでも多くの乗客を詰め込むため、ロングシートが有効であるという考えは鉄道関係者や利用者には常識と化している。大都会のみならず、地方でも高校生の通学輸送は混雑を極めるのでオールロングシートやロングシートの占有率が高い車両が幅を利かせている。
では、ラッシュ時対策としてはロングシートに勝るものはないのだろうか?確かに鉄道車両、とくにわが国の場合はロングシート全盛のようである。しかし、路線バスはどうだろうか?かつては、ロングシートが多かった気がするけれど、近年のバスはクロスシートが主流だ。急停車した場合などを考えて安全対策としてクロスシートを導入している。
また、東急世田谷線の車両は、一人掛けのクロスシートがずらりと並んでいて壮観だ。車内が狭く、ロングシートにすると通路が狭くなって乗降に支障をきたす可能性があるので、一人掛けクロスシートにしている。2両編成なので、進行方向に向かって先頭車が前向き、2両目が後ろ向きシートだ。電車というよりバスのような感じであるが、これはこれでよく考えた結果なのであろう。それにしても、ロングシート一辺倒という常識を破った点は評価したい。
異常な混雑が生んだ「常識」
3)女性専用車は常識か?
ラッシュ時の痴漢などトラブル防止策の一環として導入されたのが女性専用車である。わが国では都市の鉄道を中心にかなり普及している。しかし、夜行高速バスなどを別にすれば女性専用のバスはないし、アジア諸国に鉄道の女性専用車の例はあっても、欧米では聞いたことがない。日本やアジア諸国のような異常とも言える混雑がないからであろう。
他人と体が密着するような混雑がなければ痴漢行為は発生しにくいから、窮余の策としての女性専用車は不要という理屈であろう。
4)定時運行厳守は日本の鉄道だけ?
ほんの2~3分の遅れでも律儀に謝りの放送を入れる日本の鉄道。それほど正確無比の定時運行を心がけているのは立派というほかない。それに比べたら、おおむね正確という欧米の列車運行、10分以上遅れないと「遅延」の表示を出さないといった「風習」は、日本の鉄道に慣れた感覚からするとあまりにも緩い気がする。
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