日銀は月末の金融政策決定会合で動くのか 緩和政策の持続可能性を高める方策を議論?
[東京 20日 ロイター] - 日銀は30、31日の金融政策決定会合で、鈍い物価動向を踏まえ、物価2%目標の実現に向けて金融緩和策の持続可能性を高める方策の検討に入った。金融緩和政策の長期化が避けられない情勢の中、金融仲介機能や市場機能の低下など副作用の強まりに配慮し、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール政策、YCC)付き量的・質的金融緩和における長期金利目標やETF(上場投資信託)など資産買い入れ手法の柔軟化などが選択肢になるもようだ。
金融緩和を縮小する出口政策や金融政策の正常化とは異なり、物価2%目標の実現という日銀のコミットメントと整合的な方策を検討する。複数の関係筋が明らかにした。
日銀は同日の会合に向け、良好な実体経済にもかかわらず、物価がなかなか上がらない要因について分析を進めているが、人々のデフレマインドの根強さや、企業の生産性向上によるコスト吸収努力などが想定以上に物価上昇を抑制しており、新たな「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で示す物価見通しは、分析期間の最終年度にあたる2020年度を含めて下方修正される可能性が高まっている。
物価2%目標の実現に向けて進めている現在の金融緩和策も、さらなる長期化は避けられない情勢で、超低金利政策の継続に伴う金融機関収益の減少を通じた金融仲介機能への影響や、国債取引の減少など金融市場の機能低下といった副作用の蓄積への懸念も強まりつつある。
このため会合では、緩和長期化による副作用にも配慮しながら、緩和策の持続可能性を高める方策が議論となる公算。具体策はこれから詰めるが、YCC政策のもとで現在ゼロ%程度となっている長期金利目標や、一部で市場の価格形成を歪めているとの指摘もあるETFなど資産買い入れの手法を柔軟化することが検討されるもようだ。
日銀では、物価上昇は想定より鈍いものの、景気拡大が続くもとで需給ギャップの改善をはじめとした物価2%に向けたモメンタム(勢い)は維持されていると判断しており、短期的な物価の下押し要因になっている生産性の向上も、先行きは日本の成長期待を高める方向に作用するとみている。
物価上昇のメカニズムが作用しているとの認識のもと、日銀は現在の緩和政策を粘り強く続けていく方針。政策の持続性を高める方策も、できるだけ早期に物価目標を実現するとしている日銀のコミットメントと整合的になる観点から検討されており、金融緩和の出口戦略や金融政策の正常化とは一線を画したものになる見通しだ。
(伊藤純夫、木原麗花、梅川崇 編集:田巻一彦)
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