「時代は"共育て"一択だ」と言い切れる理由 男の育児が世の中に与えるインパクトは何か

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そうやって父親も母親も同じように育児に関わっていれば、子どもも「パパがいい」とか「ママが好き」とか、どちらにも言ってくれます。

もし本気で「赤ちゃんはママがいいに決まっている」と思っている人がいるとしたら、それは父親だから子どもが懐かないのではなく、父親が育児に関わる時間が少ないから。自分の体験からしても、「男の育児が迷惑」なんてことはありえません

空気なんか読むな。上司が家族より大切なわけがない

――さらに問題なのは、20代の若手が働く一般の職場にも、“萩生田的”な古い考えを持つ上司がたくさんいることです。だから「育児に積極的に関わりたい」と考える若手男性は増えても、実際に育児休暇を取得するケースは多くありません。

駒崎 弘樹さん(こまざき ひろき)/2004年にNPO法人フローレンスを設立。日本初の「共済型・訪問型」の病児保育サービスを首都圏で開始、共働きやひとり親の子育て家庭をサポートする。厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員会座長、内閣府「子ども・子育て会議」委員を務める。一男一女の父であり、子どもの誕生時にはそれぞれ2か月の育児休暇を取得。著書に『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』(英治出版)、『働き方革命』(ちくま新書)、『社会をちょっと変えてみた』(岩波書店)など(撮影:大室倫子)

駒崎:はっきりさせておきたいのは、「育児休暇の取得は法令で定められた労働者の権利である」ということ。

社員が育児取得を申し出たら、会社側に断る権利はありません。

だから育休を取りたいなら、空気なんて読まずに「僕も取っていいですよね」と堂々と上司に言えばいいんですよ。

子どもが生まれて育児がスタートする時期は、母親にとって父親が共に育児をするビジネスパートナーになるのか、それとも時々手伝うだけのお客さんになるのかを決める重要な時期

夫婦が子育てという人生のピッグプロジェクトをやり遂げるパートナーでありたいなら、父親がこの時期に休暇を取って育児にコミットするのは当たり前です。

もし父親が育児を全て母親に任せきりにするなら、その人は妻にワンオペを強いる奴隷主みたいなもの。そんな夫婦が良い関係を築けるはずがないし、夫は妻からの信頼も得られず、家庭内の空気も険悪になります。

その結果、夫は家庭内で居場所をなくし、会社を出ても家に帰らない“フラリーマン”化する。あなたは本当にそんな人生を送りたいですか、ということです。

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