金正恩氏、女性の扱いはかなり西洋的だった

かなり目立つ美人妻、李雪主氏の正体

夫人であれば、夫の権力や地位、名声に自動的にあやかれるというのは、前近代的で古くさく、いかにも封建的な考え方だと感じているソビエト国民は多かった。

興味深いことに、ロシア連邦初の大統領になったボリス・エリツィン氏と現職のウラジーミル・プーチン大統領は2人とも、ゴルバチョフ氏の失敗に学び、夫人を一般の目に触れさせないようにしてきた。

2013年にプーチン氏が離婚したときは、ロシアでも注目された。現在、プーチン氏には恋人がいることが公然の秘密になっており、その名前も広く知られている。だが、ロシアのメディアがこのような話題を持ち出すことはなく、「ミスK」が公的な場でプーチン氏の傍らに立つこともない。

このようなソ連やロシアの経験は、李雪主夫人と正恩氏にとって何を意味するのか。ソビエトの一般国民はニーナ夫人やライサ夫人を快く思っていなかったが、北朝鮮の一般国民も、李雪主夫人に対してこれと同様の感情を抱いている可能性がある。

李雪主夫人の存在に北朝鮮の国民は…

上品でおしとやかな女性と見られているのは、李雪主夫人にとっては救いといえるかもしれない。だがそれでも、夫人の存在は国民から反感を買っているはずだ。

これは西側諸国の常識には反することだろうが、正恩氏は夫人を表舞台に登場させたことで、李雪主夫人のみならず、自らの立場をも危うくしてしまった可能性がある。

これが原因で二人が失脚することになるとまでは言わない。十中八九、そのようなことは起きないだろう。だが、賢い政治家なら慎重の上にも慎重を期すものだ。少なくともそれが、ロシアの指導者がフルシチョフ氏とゴルバチョフ氏の失敗から学んだ教訓なのである。

(文:アンドレイ・ランコフ)

筆者のアンドレイ・ランコフ氏は韓国・国民大学教授。旧ソ連のレニングラード国立大学を卒業後、同大学院で博士課程を修了。北朝鮮研究の世界的権威で、北朝鮮の金日成総合大学に留学した経験もある。北朝鮮ニュース取締役。
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