「インスタ詐欺」にやられた!その手口とは? なぜInstagramは偽広告を取り締まらないか

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詐欺ECサイトのインスタグラムアカウントには、消されていない批判コメントが残っていることも(写真:インスタグラムの2lovewishのアカウントより)

しかしこの程度の金額で購入するフォロワーはアクティブではないことが多いため、フォロワー数に対していいねの数が極端に少なくなる。

また、インスタグラム広告として流れてくる広告へのコメントが少なかったり、はじめに表示されるコメント数と実際に表示されるコメントの数が合っていなかったりする場合も注意が必要だ。

インスタグラムでは、不愉快なコメントを非表示にする機能が導入されている。これは詐欺アカウントでも利用することができ、たとえば詐欺を示す「Scam」などのキーワードを設定することで、これらのコメントを非表示にできる。

こうして、ユーザーからの批判コメントを非表示にすることで、詐欺であるとわからないように装うことができるのだ。

なぜインスタグラムは取り締まらないのか

これらの方法は完璧ではないが、インスタグラムの自分のタイムラインに流れてくる広告で気に入った商品を見つけた場合、そこから直接購入に進まず、確認を取っても損はない。

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また一度実際のアカウントのページを確認してみるとよいかもしれない。詐欺アカウントの場合、最新の投稿に対して削除対策が追いつかず、「Scam」「Don’t buy through this shop」といった注意を促すほかのユーザーのコメントが残っていることもあるからだ。

また、ウェブサイトへのリンクがあった場合は、そのサイトが安全かどうかを詐欺レポートが集まるサイトで確認するのも手だ。たとえば「Ripoff Report」で2lovewishを検索すると、直近では5月下旬のリポートが投稿されている様子がわかる。別のサイトTrustpilotでは、商品が届いたもののひどい出来だった、との報告があった

いちいち「広告が詐欺かどうか」を調べなければならない点は、ユーザー体験を著しく下げている。一方、広告出稿側としても、誰もが知る著名ブランドでないかぎりは、ユーザーにすぐには信頼してもらえない場として、慎重にならざるをえなくなる。

いずれもインスタグラムにとっては不利益でしかないが、2lovewishが依然インスタグラムアカウントと広告を維持していることから、インスタグラムが長らく対策を取っていないことがわかる。

詐欺であっても広告出稿費を支払う「クライアント」を大切にするのか、ユーザーを保護するのか。インスタグラムはその姿勢を明らかにし、速やかに対処すべきではないだろうか。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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