国務長官「拉致含めあらゆる問題取り上げた」 「誠実で生産的な話し合いだった」
[東京 8日 ロイター] - 訪問先の北朝鮮から来日したポンペオ米国務長官は8日、日米韓外相会談後の共同会見で、完全な非核化の実現まで北朝鮮への制裁を続ける方針を強調した。
北朝鮮は前日まで行った同長官との協議後に「ギャングのような」要求だったと米国を非難する声明を出したが、ポンペオ氏は会見で「誠実で生産的な話し合いだった」と述べた。
<北はCVIDを再度約束>
ポンペオ長官は6─7日に平壌を訪問し、朝鮮労働党の金英哲副委員長と非核化に向けて協議。7日夜に来日し、8日に日本の河野太郎外相、韓国の康京和外相と会って協議内容を共有した。
同長官は3者会談後の共同会見で「はっきりと言うが、北は完全で検証可能、不可逆的な非核化(CVID)にコミットすると再度約束した」と説明。「かなり詳細に次のステップについて話し合った」と語った。
6月12日の米朝首脳会談で約束したミサイルエンジンの試験施設の破壊を実行することや、朝鮮戦争で行方不明になった米兵の遺骨返還に向けた協議を7月中旬に開くことを確認したという。
米側は北側に対し、製造施設やウラン濃縮装置、資材など、非核化で廃棄すべき対象範囲が幅広いことを説明。ポンペオ長官によると、北朝鮮は説明に理解を示した。しかし、北が同意し、受け入れたかどうかは明らかにしなかった。
ポンペオ氏は7日に平壌を発つ前、「ほぼ全ての分野で進展があった」と金副委員長との協議を評価したが、北側は外務省報道官が声明を出し、「一方的でギャングのような非核化要求だった」と批判。「非核化への我々の意思が、揺らぎかねない危険な局面に直面することになった」とした。
これに対しポンペオ氏は、8日の共同会見で「北朝鮮は誠実だった。金正恩委員長が約束を守ってくれることを期待している」と語った。そのうえで「北朝鮮が求める安全の保証は行うし、関係を改善する。しかし、制裁の解除は別物。非核化が完全に達成されるまで続ける」と述べた。
3回目となる今回の訪朝中、金・朝鮮労働党委員長と面会しなかったことについては「もともと予定はなかった」とした。
<安倍首相「長官のリーダシップに敬意」>
ポンペオ長官は、日韓で広がる米軍の抑止力低下への懸念にも言及し「われわれの韓国、日本への防衛の関与は揺ぎない。米国の安全保障に欠かせない存在だからだ」と語った。
河野外相は会見で「共通の目標であるCVIDに向け、3国の協力強化を継続するという揺ぎない約束を確認できた」と発言。康外相は「北朝鮮に完全な非核化を求める、永続的な平和を半島に確立するという3カ国の共通した目標は揺ぎない」と述べた。
ポンペオ氏は3者会合に先立ち、安倍晋三首相とも会談し、拉致を含めたあらゆる問題を北朝鮮側に提起したことを明らかにした。安倍首相は「北朝鮮との交渉で長官が強いリーダーシップを発揮していることに敬意を表したい」と語った。
*内容を追加して再送します。
(久保信博 編集:田巻一彦)
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