「人口減少」よりも「人口爆発」のほうが深刻だ 2055年の世界人口は100億人に膨れ上がる

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地中海沿岸の素晴らしい景色と気候は、私たちを魅了する。オリーブの木が並ぶゴツゴツとした岩と砂の大地。夏は暑いけれどカラッとし、冬は温暖。ホメロスがたたえた海の色はブルーグリーン。樹林は少なく、大地は大きく浸食されている。

古代の物語とはまったく異なる景色になったレバノン

実はこの気候と地形は人類が図らずも生み出したもの。5000年近く前に書かれた古代オリエントの王の冒険物語『ギルガメシュ叙事詩』で、王は現在のレバノンにある緑豊かな杉の樹林を手に入れようとする(かつてのレバノンは「杉の国」だった)。しかし地中海沿岸の人口が少しずつ増加して土地が開拓されると、気候が変化して乾燥するようになり、古代の物語とは全く異なる景色になった。

『ニューズウィーク日本版』7/10号「2055年危機 100億人の世界」特集より
『ニューズウィーク日本版』7/10号「2055年危機 100億人の世界」特集より

同じくイギリスの清教徒たちが初めて北米大陸に上陸した1620年、アメリカの大地は東海岸から2000キロ先のミシシッピ川までびっしりと森に覆われていた。しかし入植者たちが木を切り倒したため、20世紀にはだだっ広い平原と化していた。

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