18歳以下の女性を狙う卑劣な人身取引の実態 日本にも児童労働の深刻な問題が現実にある
日本での児童労働者数ですが、年少者に関する労働基準法違反が2015年には297事業者で確認されました(出典)。また、福祉犯(子どもの心身に有害な影響を与え、子どもの福祉を害する犯罪)の被害者(20歳未満)は、2015年で6235人となっています(出典)。これは明らかに危険有害な労働や禁止された労働に関わっていたものの数であると考えられます。しかし、児童労働に関するデータをまとめようとしても、項目が違っていたり、統計の取り方が18歳未満ではなく20歳未満であったり、単位が事業者数や人であったりということで、単純に数字を積み上げることができませんでした。ILOが2017年に初めて高所得国における児童労働者(5歳から17歳)の割合を発表し、児童労働者の割合が全体の1.2%、危険有害労働の割合が1.0%でした(出典)。
これを、もし日本の5歳から17歳の子ども人口1450万6387人(出典:平成27年度国勢調査)にかけると、児童労働者数が約17万4000人、そのうち危険有害労働に従事しているのが約14万5000人となります。しかしこれはあくまでも試算で、実際のところ、人数はまだ分かっていません。
ここで、日本の児童労働の実態として、NPO法人ライトハウス事務局長・坂本新さんから人身取引の事例を、首都圏青年ユニオン執行委員長・原田仁希さんからブラックバイトの事例を、琉球大学教授・上間陽子さんから特定の地域における児童労働の形についての事例をお話しいただきます。
残り続ける日本での「人身取引」という搾取の形態
NPO法人ライトハウス事務局長 坂本新さん:特定非営利活動法人「人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」は、主に日本国内における人身取引被害者の支援と、啓発教育、そして法制化も含めた政策提言を行っています。「性的搾取」「強制労働」「臓器摘出」の3つが人身取引を構成する主たるものとなります。その中でライトハウスは「性的搾取」の支援に特化した活動を行っております。
日本で起きている人身取引は、大きく5つあります。ここ数年で増えているのが、「AVをはじめとするポルノ等への出演強要被害」です。また、「児童ポルノ」「売春強要」「リベンジポルノ」「児童買春」などがあります。2017年の1年間に当会へ新規相談があった中で、人身取引が疑われる事案は138名。そのうちAV出演強要が88名、児童ポルノが11名、売春強要が11名、その他が36名でした。ライトハウスでは、電話、LINE、メール、当会で開発した独自のアプリの4つの相談窓口を持ち、被害当事者からの相談、または周りにいる方からの相談を受けています。児童からの相談は圧倒的にLINEが多くなっています。そこで繋がった方への支援としては、まずは本人との直接の面談をして主訴の確定をした後、困りごとの解決に最適な社会資源に繋げます。例えば、法律相談であれば法律事務所に繋げる、もしくは警察に繋げる、病院に行く、その他行政窓口で様々な手続きのお手伝いをするなど、多岐にわたっています。時には、加害者側との代理交渉ということで、例えば、風俗やAV出演をやめさせてもらえないという場合は、スタッフが本人に代わって交渉することもあります。
日本で起きている人身取引について、いくつかの事例をお話しします。