岐路に立つ東芝、市況急落でフラッシュメモリ「三極体制」崩壊

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サンディスクの業績悪化 東芝は自前化を推進へ

だが、状況は一変。携帯型音楽端末向け需要の伸び鈍化とともに、需給バランスが一気に崩壊し、サンディスクも収益が悪化。サムスン電子がサンディスクに買収を仕掛けたのはその頃だ。

確かに、サムスン電子の買収提案は「資本の論理」そのもの。サムスン電子が最初にサンディスクに接触した今年5月22日時点、サンディスクの株価は28・75ドル。だが、その後の株価下落を踏まえサムスン電子が提示した買収価格は26ドルだった。そして、10月20日にサンディスクが第3四半期(7~9月)の赤字決算を発表すると、翌21日に株価は14・76ドルまで下落。22日にサムスン電子は買収提案を撤回したのである。

一方、その20日に東芝は、「サンディスクの要請に基づき」(東芝)、四日市工場の第3、第4製造棟の製造装置の保有比率を従来の約50%から65%相当へ引き上げることで基本合意したと発表した。

業績低迷にあえぐサンディスクには、製造装置の売却代金などで合計10億ドルの取引と見込み、財務体質を強化する狙いがあった。だが東芝は、あくまでも「サムスン電子の買収提案とは無関係。当社の生産能力拡大の一環」とコメントし。今回の件をきっかけに、業績悪化で買収の危機にさらされるようになったサンディスクへの依存度を引き下げ、生産設備の自前化を進めようとしていることがうかがえる。すでに三極体制は崩壊し、過去のものとなってしまったのだ。

折しも、かつて三極体制の外にあったSTマイクロエレクトロニクスは3月に、NAND型フラッシュメモリ事業を米インテルのNOR型フラッシュメモリ事業と統合。新会社ニューモニクスを設立し、規模を拡大しつつある。

東芝のNAND型フラッシュメモリ事業は、「かつての盟友」、「現在の盟友」とも距離を保ちながら、世界の競合と戦う新たな時代に突入しようとしている。

(石井洋平 =週刊東洋経済)

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