「再エネ利用100%」へ日本企業も動き出した 「RE100」プロジェクトの責任者に聞く

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Sam Kimmins/船舶や航空、食品、建設分野などで20年以上にわたりサステイナビリティ(持続可能性)計画に携わった経験を持つ。(撮影:今井康一)

外務省も加盟に前向きで、本省や在外公館で使用する電力の100%を再エネで賄うとの考えを示している。こうした両省による取り組みは、企業による活動への援護にもなる。

──経済産業省は次期のエネルギー基本計画において、再エネを「主力電源」に位置づける考えを示している。その一方でCO2排出量の多い石炭火力発電の維持も表明している。

(経営破綻した)コダックを想起してほしい。同社の失敗の原因は、デジタルカメラへの移行を躊躇し、フィルムという古い技術を守ろうとしたことにある。

再エネのコスト削減は一気に進む

世界規模で見た場合、再エネのコスト削減は指数関数的なペースで進んでいる。現在、日本では再エネは確かに割高で調達も容易でないが、その原因を究明して解決に向け努力すれば大きく下がる可能性が高い。そしてコスト問題に一定の解決が見えた後は、市場に任せればよい。

そうした努力が足りないまま石炭火力を守ろうとした場合、再エネの導入が阻まれることになる。また、将来、電力会社は採算の合わない資産を抱え続けることになり、企業や国民にとってもマイナスが大きい。

──海外の状況はどうか。

欧米のいくつかの国では、再エネは補助金なしで自立したエネルギーになっている。英国では石炭火力よりも実質的に安価になった。日本でも5年前のコストを前提にするのではなく、将来を見据えて再エネに積極的に投資すべきだ。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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