オークラ東京、1泊「約7万円」の新本館の狙い 日本発、高級ホテルブランドは誕生するか

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今回、会見で明らかになったことは、オークラが追求する「高級化路線」の戦略だ。

オークラは2010年に日本航空からJALホテルズを買収。以後、客室やサービスレベルに応じて、さまざまなブランドを展開してきた。

たとえば2016年7月から運営する「グランドニッコー東京 台場」のほか、海外を中心に展開する「オークラプレステージ」といったブランドを新規に開発。外資系ホテルと遜色のない客室の広さを確保し、高付加価値戦略を進めている。

海外戦略のカギを握る新本館

2棟かならる新本館は、高層棟に「プレステージ」を368室、低層棟には自社初となる最高級ブランド「ヘリテージ」を140室というを展開する。

特にヘリテージは平均客室面積が60平方メートル以上、和を重視した内装や全室にミストサウナを備える。サービス面でも差別化を図る方針だ。荻田社長は平均客室単価は、プレステージで4.5万~5万円、ヘリテージで7万円超になると表明している。

客室単価で7万円というのは、国内の100室を超えるホテルとしてはほかに例がない。建て替え前の2013年には平均客室単価が2万円程度だったことを考えれば、同じ名前でもまったく違うレベルのホテルが誕生するともとれる。

オークラは2020年に国内・海外あわせて100軒体制を目指している(現国内47、海外26、計73)。この新本館は今後の成長を担うショールーム的な役割を担う。

荻田社長は「機会があればヘリテージブランドでニューヨークやロンドン、シンガポールや上海で展開していきたい」と表明している。

1980年~1990年代にホテルオークラ東京は専門紙で世界有数のホテルに選ばれたこともあるが、近年は新設の競合に押され、存在感が低迷していた。

再開業する新本館で高収益をたたき出し、こうした世界の主要都市に不動産を持つオーナーが、自社ビルにオークラブランドのホテルを誘致したいと思わせるだけの収益を上げられるか。海外戦略を加速させられるかどうかのカギとなる。そのためにも2019年9月の新本館の開業をスムーズに成功させる必要がありそうだ。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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