老舗の「東京會舘」、建て替えで始まる大改革 19年1月開業の「新本館」は何を守り、変えるか
一瞬、会場に動揺が走ったように見えた。
5月23日、宴会場やレストランを運営する東京會舘が開いた記者会見でのこと。同社の渡辺訓章社長は、看板レストラン「プルニエ」の総料理長に外部から松本浩之シェフを招聘すると発表した。
プルニエは東京會舘を代表する老舗のフランス料理店。初代調理長だった田中徳三郎氏が、パリの老舗レストラン・プルニエで修業を積み、同じ名前を冠して、東京會舘の中に1934年に開業。プルニエの総料理長は今まで社内出身者が占めていた。
今回は、国内やフランスの有名店で腕を振るった経験のある松本シェフを、初めて外部から招聘。その意義を渡辺社長は「プルニエの総料理長を外部から呼ぶことで、“東京會舘は変わるんだ”ということ示したい」と説明する。
宴会場や高級レストランの老舗で、まさに“古風”といった趣の東京會舘でいったい何が起きているのか。
宴会から高級レストラン、料理教室まで
東京會舘は、1920年に創業、1922年から営業を続ける宴会・レストランの運営会社だ。有楽町や日比谷に隣接する丸の内3丁目に「東京會舘」という建物を構える。
同社の主力事業は法人・個人向けの宴会だ。特に売上高の半分近くを占めるのが企業や業界団体など、法人が主催する宴会だ。こうした宴会は実施日があらかじめ決まっており、数百万円単位と規模が大きい。
個人向けは婚礼に強みを持つほか、フランスや中華、日本料理といった高級レストランを運営している。
また浜松町の世界貿易センタービル、一橋大学の同窓会館「如水会館」、大手町アーバンネットビルなどの施設の中でもレストランや宴会場を運営するほか、贈答用菓子の販売やクッキングスクールの運営も行っている。
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