住友林業「高さ350m木造ビル構想」の真意 「現代版バベルの塔」との揶揄を跳ね返せるか
木造で日本一の超高層ビルを建設する
木造で高さ350m、地上70階の日本一の超高層ビルを東京・丸の内地区に建設する――。
こんな壮大なビジョンを打ち出したのは、木造住宅のリーディング企業の一つで、国内トップクラスの木材・建材事業などを展開する住友林業である。世界的にも例を見ない、一見、奇想天外、荒唐無稽だとも感じられる構想だ。
これは同社が今年2月8日に発表した研究・技術開発の長期ビジョン「W350計画」の説明会で明らかにされた。会場では、丸の内の高層ビル群の中に建つ、森を彷彿とさせる建物のイメージ映像も披露された。2041年を目標に実現を目指すという。
ビルの内部には店舗やオフィス、ホテル、住宅などが入居するが、内装材にも木材・木質建材が豊富に使われるとのことで、既存の鉄とコンクリートによるビルとは雰囲気を大きく異にするという。
構造は木材(木質建材)と鉄骨材のハイブリッド造で、その比率は9:1。これなら「木造」と表現しても差し支えないだろう。ちなみに現在、日本で最も高いビルは「あべのハルカス」(大阪市、高さ300m、地上60階建て)で、鉄骨鉄筋コンクリート造である。
筆者は説明を聞きながら、旧約聖書の『創世記』に登場する「バベルの塔」を想像した。天に届く塔を建てようとして途中で崩壊したとされ、空想的で実現不可能な計画の例えとされる伝説上の建物だ。
それに類する難易度の高いものだと思われたのである。実際、住宅不動産マスコミ関係者の中には、「大風呂敷」「絵空事」などと評する者さえいたくらいである。では、なぜこんな壮大なビジョンを打ち出したのだろうか。
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