「iPhoneの力」をMacにも使うアップルの深謀

新macOS「モハベ」、利用してみてわかったこと

Mojaveの発表前、アップルは現在のMac事業に見切りをつけ、macOSをiOSデバイスと同じARMアーキテクチャへと変更。将来的にはmacOSとiOSを統合するといううわさまで流れた。しかし、アップルは両プラットフォームの連携、そして両互換アプリの開発フレームワークを用意することで、将来への道筋を示している。

iPhone事業もその上限がある程度見えてきているが、Mojaveのβ版からは、iPhoneという事業基盤を生かした着実なアップルの戦術を感じられた。

最後に今年のアップルが一貫して取り組んでいる面に触れておきたい。それはセキュリティとプライバシーの保護強化対策だ。

“フィンガープリント(指紋)”を追跡できないようにする機能や、利用者に許可なくウェブ上での行動を追跡するサイトを警告する機能が、macOSの標準ウェブブラウザであるSafariの機能として搭載される。

ここで言うフィンガープリントとは、端末の特徴を読み取って特定するため要約値を算出し、それを追いかけることでユーザーのネット上での振る舞いを追跡する技術のこと。システムのスペックやブラウザに組み込まれているプラグインなど、さまざまな固有の情報をブラウザ経由で取得し、その特徴を“指紋”とすることで、どのブラウザからアクセスされているかを認識する。

アップルの新しいブラウザでは、この要約値をあいまいにするためのマスキング技術が導入され、正確な追跡を不可能にする。追跡技術を利用している側は利用者を特定することが困難になるため、フィンガープリントで収集したデータで何らかの情報操作を行ったり、あるいはデータを転売するといったことが不可能となる。

強化される「セキュリティとプライバシー保護」

ドナルド・トランプ大統領の米大統領選挙では、ネットでさまざまな情報収集が行われ、ターゲットとなった利用者に印象操作を目的とした広告などが出されたとされるが、これらもウェブ上で特定の発言や行動をしている一群に対して行われたと指摘されている。

ウェブサイトの中には、“いいね!”を押したり、コメントを残したり、あるいは何らかのボタンを押して意思表示するといった行動をとったことを追跡し、サーバに送信している場合もある。こうした利用者が意図しない可能性のある情報送信を検出すると、新しいSafariは利用者に情報を送信してもいいかどうかを尋ねるようになる。スクリプトでクリックしたつもりのないサイトに送り込まれるといった問題のあるテクニックに対しても、Safari側で警告を発するようになるそうだ。

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これらの対策は、iOS 12用のSafariにも反映され、iPhone、iPadのSafariも同様にセキュリティとプライバシー保護の強化がされるという。

アップルは今年、自社製品のユーザーのインターネット利用に関して、その履歴をビッグデータとして利用しないことを、繰り返し訴求してきた。その背景にはフェイスブックの個人情報流出事件、欧州委員会の定めた一般データ保護規則(GDPR)がある。

グーグルなどの企業が、クラウド上での利用者の振る舞いを自社サービスの品質向上や新機能、新サービスへの展開に活用しようとしている中、アップルは独自の方針を貫く。サーバに何らかの履歴情報をアップロードし、それを活用して稼ぐことに対して、アップルは否定的な見解を表明している。あくまでも“製品内に閉じた利用履歴の機械学習”によって使いやすさを高めるのが、アップルの大きな特徴といえるだろう。

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